2019年8月1日木曜日

債権各論127 改正民法634条

(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第634条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

(e-Gove法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf


「『完成とみなす』だから、完成していなくていいんだね」

「報酬を支払う場合があるんだね」

「1号の、注文者に帰責事由がない場合でも支払うんだね」

「柱書きの、注文者に利益がある場合だからだね」

「注文者に帰責事由がある場合は?」

「536条2項で報酬を請求できるね」

「判例の明文化なの?」

「明文化とされているね」

「雇用でも似た条文があるね」

「624条の2だね」

「改正前の634条とは内容が大分違うね」

「改正前は担保責任の規定だね」

「担保責任の規定は削除するの?」

「売買でも追完や損害賠償を認める規定になって、請負に準用されるからだね(562,564,559条)」


「同時履行の533条を準用する規定を削除するんだね」

「担保責任は、改正によって債務不履行責任とするからだね」


準用しなくなるということは、同時履行を主張できなくなるの?
乙 

「できるよ」
533条カッコ書きの損害賠償には、担保責任に基づく損害賠償も含むから、準用じゃなくて直接適用されることになるからだね

(債務者の危険負担等)
第536条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

(履行の割合に応じた報酬)
第624条の2 労働者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 使用者の責めに帰することができない事由によって労働に従事することができなくなったとき。
二 雇用が履行の中途で終了したとき。

(買主の追完請求権)
第562条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
第564条 前2条の規定は、第415条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による解除権の行使を妨げない。

(有償契約への準用)
第559条 この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。




(同時履行の抗弁)
第533条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

(債権各論15 改正民法533条)
https://bengoshinobenkyou.blogspot.com/2019/04/15533.html
(債権各論56 削除)民法571条)
・判例
最判昭和56年2月17日集民第132号129頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=74533
(法務省資料)


http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00215.html
(一問一答 民法(債権関係)改正p338-41)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。