2019年8月14日水曜日

債権各論140 改正民法648条

(受任者の報酬)
第648条 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第624条第2項の規定を準用する。
3 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
二 委任が履行の中途で終了したとき。
(e-Gove法令検索) 

 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089 

(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)  
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf 

「1項によると、委任は原則無償なんだね」

「冒頭規定の643条が、報酬支払いを要件としていないからね」

「2項は報酬後払いの規定だね」

「雇用の規定を準用するんだね」

「3項は、割合的報酬請求が認められる場合の規定だね」

「雇用・請負と同じような規定だね」

「3項1号とは逆に、委任者に帰責事由がある場合は?」

「536条2項が適用されるね」
(委任)
第643条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(報酬の支払時期)
第624条 労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。
2 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。
(履行の割合に応じた報酬)
第624条の2 労働者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 使用者の責めに帰することができない事由によって労働に従事することができなくなったとき。
二 雇用が履行の中途で終了したとき。
(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第634条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

(債務者の危険負担等)
第536条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
 

(一問一答 民法(債権関係)改正p347,350-1)  
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332 
(我妻・有泉コンメンタール民法p1316,1322-3) 
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html 
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。