2019年8月15日木曜日

債権各論141 改正民法648条の2

(成果等に対する報酬)
第648条の2 委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。
2 第634条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。
(e-Gove法令検索)

 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf


「成果報酬の規定だね」

「反対解釈すると、成果がなければ委任事務を履行しても報酬が得られないんだね」

「成果報酬の支払時期を定めたんだね」

「1項は引渡しとの同時履行だね」

「2項は、請負の規定を準用するんだね」

「成果が出る前でも、

①委任事務の履行により成果が得られなくなった
or
②解除された
ときに割合的報酬を請求できる場合があるんだね」

「請求できる要件は、634条柱書きにもあるね」

「成果が可分で、委任者の利益になる場合だね」

「もともと委任って、請負と区別が難しいね」

「成果報酬の委任だと、請負の『仕事の完成』と区別しづらいだろうね」

「区別の実益って?」

「例えば印紙税」
「請負だと、
契約書を作った等の要件をみたせば印紙税が課される」
収入印紙のイラスト 

「成功報酬型の委任自体は改正前からあったよね?」
 乙
「我妻先生によると、

①相手を信頼して事務処理を委託
②費用は負担する
③報酬は成功したときだけ
というのは委任とみるべき、らしいね」
(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第634条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。


・印紙税法
(課税物件)
第2条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する。 

(請負について国税庁、印紙税額一覧表)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf
 


(国税庁、請負の意義)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/09.htm


 




(一問一答 民法(債権関係)改正p352-3)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
(我妻・有泉コンメンタール民法p1323)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html
我妻民法講義V3 債権各論 中巻二p686)
https://www.iwanami.co.jp/book/b260855.html
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。