2019年5月31日金曜日

債権各論69 民法584条

※改正なし
(共有持分の買戻特約付売買)
第584条 不動産の共有者の1人が買戻しの特約を付してその持分を売却した後に、その不動産の分割又は競売があったときは、売主は、買主が受け、若しくは受けるべき部分又は代金について、買戻しをすることができる。ただし、売主に通知をしないでした分割及び競売は、売主に対抗することができない。
 (e-Gove法令検索) 

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

「共有不動産の分割や競売をした場合だね(256Ⅰ,258)」

「買戻権の行使対象が、現物・代金・権利になるんだね」

「分割や競売は、売主に通知しないといけないんだね」

「通知がないと、買戻権である売主は分割や競売がないものとして共有持分を買戻せるんだね」

(共有物の分割請求)
第256条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 略
(裁判による共有物の分割)
第258条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
(我妻・有泉コンメンタール民法p1187-8)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7694.html

2019年5月30日木曜日

債権各論68 民法583条

※改正なし
(買戻しの実行)
第583条 売主は、第580条に規定する期間内に代金及び契約の費用を提供しなければ、買戻しをすることができない。
2 買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第196条の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

(e-Gove法令検索) 
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089 

「期間内に提供するんだね」

「提供は493条とかだね」

「2項は費用償還の規定だね」

「196条との違いは、善意・悪意の区別じゃなくて、必要費・有益費の区別なんだね」


(買戻しの期間)
第580条 買戻しの期間は、10年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、10年とする。
2 買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができない。
3 買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければならない。

(弁済の提供の効果)
第492条 債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。
(弁済の提供の方法)
第493条 弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。

(占有者による費用の償還請求)
第196条 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
2 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
(我妻・有泉コンメンタール民法p1187)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7694.html

2019年5月29日水曜日

債権各論67 民法582条

※改正なし
(買戻権の代位行使)
第582条 売主の債権者が第423条の規定により売主に代わって買戻しをしようとするときは、買主は、裁判所において選任した鑑定人の評価に従い、不動産の現在の価額から売主が返還すべき金額を控除した残額に達するまで売主の債務を弁済し、なお残余があるときはこれを売主に返還して、買戻権を消滅させることができる。
 

(e-Gove法令検索) 
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089


「債権者代位の規定だね」

「買戻権を行使して、債権の回収をするんだね」

「鑑定人の選任は?」

「非訟事件手続法96条1項だね」

「売主A・買主B・売主の債権者Cで考えるとどうなるの?」



「表をつくってみたよ」


(債権者代位権の要件)
第423条 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
3 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。

非訟事件手続法
(買戻権の消滅に係る鑑定人の選任)
第96条 民法第582条の規定による鑑定人の選任の事件は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
2 裁判所が前項の鑑定人の選任の裁判をする場合における手続費用は、買主の負担とする。
(我妻・有泉コンメンタール民法p1186-7)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7694.html

2019年5月28日火曜日

債権各論66 改正民法581条

(買戻しの特約の対抗力)
第581条 売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻しは、第三者に対抗することができる。
2 前項の登記がされた後に第605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた賃借人の権利は、その残存期間中1年を超えない期間に限り、売主に対抗することができる。ただし、売主を害する目的で賃貸借をしたときは、この限りでない。
 

(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf

「1項は、売買契約と同時に登記したときの規定だね」

「第三者に対抗できるのを明確化したんだね」

「2項は、賃借権との関係だね」

「対抗要件を備えた賃借権を保護するんだね」

(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の2 前条、借地借家法(平成3年法律第90号)第10条又は第31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 略
(不動産賃貸借の対抗力)
第605条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

(一問一答 民法(債権関係)改正p270)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。

2019年5月27日月曜日

債権各論65 民法580条

※改正なし
(買戻しの期間)
第580条 買戻しの期間は、10年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、10年とする。
2 買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができない。
3 買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければならない。

(e-Gove法令検索) 
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089 

「期間制限の規定だね」

「10年以内だね」

「10年以内に買戻権を行使しなかったらどうなるの?」

「買戻権は消滅するね」

「例えば、買主が返還を拒んでも期間制限に引っかかるの?」

「信義則上許されないとした判例※があるよ」

判例※
最判昭和45年4月21日集民第99号109頁


http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=70374



(基本原則)
第1条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。

(我妻・有泉コンメンタール民法p1183-4)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7694.html

2019年5月26日日曜日

債権各論64 改正民法579条

【第3款 買戻し】
(買戻しの特約)
第579条 不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金(別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額。第583条第1項において同じ。)及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。
 

(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
 http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
 甲
「買戻しの規定だね」

「対象は『不動産』だね」
「買戻権行使のときに売主が返す金銭の範囲が改正されるね」

「改正前はどうだったの?」

「代金と契約費用に限定していたよ」

「改正で括弧書きが加わるんだね」

「合意で定めた金額でもいいんだね」

(一問一答 民法(債権関係)改正p269-70)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。

2019年5月25日土曜日

債権各論63 民法578条

※改正なし
(売主による代金の供託の請求)
第578条 前2条の場合においては、売主は、買主に対して代金の供託を請求することができる。
 (e-Gove法令検索)

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

「供託の請求だね」

「『前2条』つまり支払拒絶の場合だね」

「供託しないとどうなるの?」

「判例※では、支払拒絶できなくなるね」

(供託)
第494条 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
二 債権者が弁済を受領することができないとき。
2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
(権利を取得することができない等のおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶)
第576条 売買の目的について権利を主張する者があることその他の事由により、買主がその買い受けた権利の全部若しくは一部を取得することができず、又は失うおそれがあるときは、買主は、その危険の程度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。
(抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶)
第577条 買い受けた不動産について契約の内容に適合しない抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる。この場合において、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる。
2 前項の規定は、買い受けた不動産について契約の内容に適合しない先取特権又は質権の登記がある場合について準用する。

判例※大判昭和14年4月15日民集18巻7号429頁
(カタカナ等を改めたもの)
「売主が買主に対して代金の供託を請求したるにかかわらず買主においてこれが供託をなさざるときは代金の支払拒絶権を行使し得ざるものと解するを相当なりとす」
(我妻・有泉コンメンタール民法p971・1181)

https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7694.html