2019年5月7日火曜日

債権各論46 改正民法561条

(他人の権利の売買における売主の義務)
第561条 他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
 

(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※) 
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf


「いわゆる他人物売買をした場合の義務だね」

「『物』の所有権を含めて、他人の権利一般は売ったとしても契約自体は有効なんだね」

「改正前560条とほぼ同じだね」

「『一部が他人に属する』場合を加えたんだね」

「権利の全部は改正前561条、一部は改正前563条に分かれていたんだね」

「一部の場合も改正前560条と同じ義務があるのは解釈上異論がなかったね」

「改正前562条は、売り主側に解除権を認めていたね」

「削除されるね」

「理由は?」

「まず、あまり使われていない」
「善意、つまり過失があっても解除できることになる」
「ろくに調べなくて善意という場合もあるので、解除させる必要性が乏しい」

(定義)
第85条 この法律において「物」とは、有体物をいう。
(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)

(他人の権利の売買における売主の義務)【改正前】
第560条 他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
(他人の権利の売買における善意の売主の解除権)【改正前】
第562条 売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる。
2 前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。
(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)【改正前】
第563条 売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。
3 代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。


(一問一答 民法(債権関係)改正p272-3)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。