(行政機関の保有する情報の公開に関する法律の適用除外)
第14条 遺言書保管所に保管されている遺言書及び遺言書保管ファイルについては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)の規定は、適用しない。
(e-gov法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=430AC0000000073_20200710_000000000000000&openerCode=1
(法務局における遺言書の保管等に関する法律について)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
甲
「いわゆる情報公開法だね」
乙
「保管をする法務局が情報公開法2条1項の『行政機関』にあたりそうだね」
甲
「遺言書や保管ファイルが同法2条2項の『行政文書』にあたりそうだね」
乙
「法務局という公的機関が保管するとしても、誰がどんな遺言を書いたかを、国民一般に公開する必要はないんだろうね」
甲
「公開というか、遺言書の閲覧とかはこの法律(遺言書保管法)に基づいておこなうことにしたんだろうね」
乙
「ところで遺言って個人情報じゃないの?」
甲
「情報公開法5条1号で除外事項になっている、『個人に関する情報』にあたりそうということ?」
乙
「そうだね」
甲
「情報公開法が適用されても除外されそうということ?」
乙
「そうだね」
甲
「個人情報保護法(行政)2条2項柱書の『個人情報』は、『生存する個人』と限定されている」
「遺言者が亡くなったら、個人情報として保護されなくなるなりそうじゃない?」
乙
「ただ、情報公開のほうの審査基準を見ると、『個人に関する情報』を生存者に限定していないね」
「個人情報保護法(行政)のほうで生存者に限定しているのは、宇賀先生によると、亡くなった人が開示請求とかの主体にはなり得ないかららしい」
「仮に『生存する個人』と限定されても、相続人や受遺者といった、遺言者以外の個人に関する情報が遺言書に載っている可能性が高いね」
甲
「適用除外って他にもあるの?」
乙
「e-gov法令検索で出てくるね」
甲
「13条と同じように、不動産登記法があるね」
乙
「不動産登記は公開を前提としているからね」
「プライバシーや個人情報という点からは、刑事訴訟法のほうが近いのかもね」
甲
「刑事訴訟法の裁判所って、行政機関じゃないよね?」
乙
「検察庁や刑務所が行政機関だからなんだろうね」
甲
「情報公開法5条1号本文・個人情報保護法(行政)2条2項1号はカッコ書きが多いから『楽々かっこ』というサイトで色分けしておくね」
(情報公開法の図)
行政機関の保有する情報の公開に関する法律
(定義)
第2条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
二 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(略)第49条第1項及び第2項に規定する機関(略)
三 国家行政組織法(略)第3条第2項に規定する機関(略)
四 内閣府設置法第39条及び第55条並びに宮内庁法(略)第16条第2項の機関並びに内閣府設置法第40条及び第56条(略)の特別の機関で、政令で定めるもの
五 国家行政組織法第8条の2の施設等機関及び同法第8条の3の特別の機関で、政令で定めるもの
六 会計検査院
2 この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
一 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
二 公文書等の管理に関する法律(略)第2条第7項に規定する特定歴史公文書等
三 政令で定める研究所その他の施設において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの(前号に掲げるものを除く。)
(行政文書の開示義務)
第5条 行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。
一 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項をいう。次条第2項において同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし(略)
行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律
(定義)
第2条 略
2 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第2号において同じ。)で作られる記録をいう。以下同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
二 個人識別符号が含まれるもの
不動産登記法
(行政機関の保有する情報の公開に関する法律の適用除外)
第153条 登記簿等及び筆界特定書等については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)の規定は、適用しない。
刑事訴訟法
第53条の2 訴訟に関する書類及び押収物については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)の規定は、適用しない。
2 訴訟に関する書類及び押収物に記録されている個人情報については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)第4章及び独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号)第4章の規定は、適用しない。
(情報公開制度・総務省)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/jyohokokai/index.html
(法務省本省情報公開審査基準[PDF] )
http://www.moj.go.jp/content/001253632.pdf
(156回国会衆議院個人情報の保護に関する特別委員会平成15年04月21日、p23宇賀克也発言)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/156/0130/15604210130007.pdf
(新基本法コンメンタール不動産登記法p390)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/5456.html
(逐条実務刑事訴訟法p118-9)
https://ssl.tachibanashobo.co.jp/products/detail.php?product_id=3488
(楽々かっこ)
http://www.rakuraku-kakko.com/
情報公開法5条1号本文
個人情報保護法(行政)2条2項1号