(正当防衛及び緊急避難)
第720条 他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。ただし、被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げない。
2 前項の規定は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合について準用する。
(e-Gove法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
甲
「民法にもあるんだね」
乙
「刑法とは少し違うね」
甲
「1項本文の『加害行為』は、不法行為者に対してだけじゃないんだね」
乙
「第三者に対しての加害行為も含むんだね」
甲
「1項ただし書きから読み取れるね」
乙
「1項ただし書きの『被害者』は『不法行為をした者』に損害賠償を請求できるけど、1項本文の『やむを得ず加害行為をした者』は損害賠償請求されないんだね」
甲
「2項は『物』からの危難に対する、物の損傷なんだね」
乙
「刑法と違って、第三者に対する加害行為は民法上の緊急避難ではないんだね」
甲
「どんな判例があるの?」
乙
「自治体の公金支出について、違法性を阻却する理由に720条の『法意に照らして』とした事案があるよ」
刑法
(正当防衛)
第36条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(緊急避難)
第37条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。
(判例)
最判平成3年3月8日民集第45巻3号164頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52456
(我妻・有泉コンメンタール民法p1554-6)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html