2019年10月5日土曜日

債権各論192 民法696条

(和解の効力)
第696条 当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。
(e-Gove法令検索)

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

「和解契約の確定効だね」

「和解をした後には争えなくなるんだね」

「和解契約の錯誤は主張できるの?」

「判例1によると主張できないね」
「錯誤が改正されるけど、判例1とは関係ないだろうね」

「錯誤が主張できる場合はないの?」

「和解の前提事項は、錯誤の対象とできるね(判例2)」

「他に請求できる場合は?」

「怪我(人身損害)が対象の和解をした時点で予想できない後遺症については、追加で賠償請求できるとされるね(判例3)」

(錯誤)
第95条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第2号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第1項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第1項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

 
(判例1)
最判昭和43年7月9日集民第91号645頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=70355
(判例2)
最判昭和33年6月14日民集第12巻9号1492頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52876

(判例3)
最判昭和43年3月15日民集第22巻3号587頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53980 



(我妻・有泉コンメンタール民法p1379-82)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html
 (要件事実マニュアル2p232-4) https://shop.gyosei.jp/products/detail/9256