(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第717条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前2項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
(e-Gove法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
甲
「土地工作物についての責任だね」
乙
「建物や堤防という土地工作物に対する、危険責任だね」
甲
「1項本文の『瑕疵』が要件なんだね」
乙
「工作物に通常有すべき安全性がないとか、不完全な点がある場合だね」
「自然災害の場合で不可抗力なら『瑕疵』ではないね」
甲
「具体的な基準はあるの?」
乙
「明文上はないね」
「災害の頻度、規模、程度、地理的な事情とかを考慮するんだね」
甲
「1項ただし書きで、所有者が無過失責任を負うんだね」
乙
「もっとも、過失の要素である予見可能性や回避可能性がない場合でも瑕疵があるという判断を破棄した判例1があるよ」
「判例1では、いつから瑕疵があると評価されるようになったのかを明らかにしないといけないらしいね」
甲
「自然災害が影響する場合は?」
乙
「国家賠償法の事例で、減額されたものがあるよ(判例2)」
国家賠償法
第2条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
(判例1)
最判平成25年7月12日集民第244号1頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=83401
(判例2)
長崎地判昭和61年3月31日判例タイムズ592号38頁
(我妻・有泉コンメンタール民法p1540-4)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html
(要件事実マニュアル2p411-3)
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9256
(改訂版弁護士のための水害・土砂災害対策QAp132)
https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/103619.html