【第5款 定型約款】
(定型約款の合意)
第548条の2 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。
2 前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第1条第2項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
甲
「定型約款だね」
乙
「定義は、
①(特定の者)VS(不特定多数の者)の取引で、
②画一的な内容であることが当事者双方に合理的なものを「定型取引」と定義して、この定型取引で、
③契約の内容とすることを目的として、その特定の者により準備された条項の総体
だね」
甲
「定型約款が1項の1号か2号にあたる、いわゆる組入要件をみたした場合は?」
乙
「合意したとみなすんだね(1項)」
甲
「『みなす』ということは、合意をしなくても合意したことにするんだね」
乙
「本来は合意の前提として、当事者は契約の内容を認識しないといけないのが民法の原則だからね」
「約款を読んでいないから合意をしていない、とはならない場合を規定するんだね」
甲
「2項で逆に合意しなかったとみなす場合を規定して、歯止めをかけるんだね」
乙
「1条2項の基本原則に反する場合だね」
甲
「1項2号の『表示』って、定型約款をHPに載せておけばいいの?」
乙
「HPに載せるとかの一般的な『公表』ではダメで、個別の表示と評価できる程度にする必要があるね」
甲
「『公表』は『表示』でないということ?」
乙
「そうらしいね」
「公共交通機関とかは特則として、整備法で『公表』も認めているね」
甲
「定型約款に関する規定の適用について、附則に特則があるね」
乙
「施行日前に反対の意思表示をすれば、適用されなくなるね」
「適用されなくなる事に関する注意書きも、法務省に載っているね」
(基本原則)
第1条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
鉄道営業法
第18条ノ2 鉄道ニ依ル旅客ノ運送ニ係ル取引ニ関スル民法(明治29年法律第89号)第548条の2第1項ノ規定ノ適用ニ付テハ同項第2号中「表示していた」トアルハ「表示し、又は公表していた」トス
航空法
(民法の特例)
第134条の3 航空運送事業による旅客の運送に係る取引に関して民法(明治29年法律第89号)第548条の2第1項の規定を適用する場合においては、同項第2号中「表示していた」とあるのは、「表示し、又は公表していた」とする。
改正法附則
(定型約款に関する経過措置)
第33条 新法第548条の2から第548条の4までの規定は、施行日前に締結された定型取引(新法第548条の2第1項に規定する定型取引をいう。)に係る契約についても、適用する。ただし、旧法の規定によって生じた効力を妨げない。
2 前項の規定は、同項に規定する契約の当事者の一方(契約又は法律の規定により解除権を現に行使することができる者を除く。)により反対の意思の表示が書面でされた場合(その内容を記録した電磁的記録によってされた場合を含む。)には、適用しない。
3 前項に規定する反対の意思の表示は、施行日前にしなければならない。
(法務省:定型約款に関する規定の適用に対する「反対の意思表示」について 【PDF】 )
http://www.moj.go.jp/content/001242840.pdf
(法務省パンフ)
http://www.moj.go.jp/content/001289629.pdf
(法務省資料)
http://www.moj.go.jp/content/001255638.pdf
(一問一答 民法(債権関係)改正p243-54)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
(「みなす」について、条文の読み方p96-8)
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641125544
(やさしく解説 法律基礎知識 バックナンバー第4回 法律の読み方(2)[PDF形式](563KB))
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201211_14.pdf
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。