第536条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
甲
「危険負担の、債務者主義の規定は残すんだね(1項)」
乙
「危険負担の制度自体をなくすか、検討されたらしい」
甲
「解除の改正が影響したんだね」
乙
「解除に帰責事由が必要なくなったんだね」
甲
「帰責事由が必要ないと、危険負担と要件が同じになるからだね」
乙
「でも結局残したんだね」
甲
「要件は解除と同じだけど、改正で効果を若干変えたよ」
乙
「『拒むことができる』、つまり債務の消滅でなくて拒絶できることになったんだね」
「反対給付を履行しないことを正当化する理由、つまり要件事実論でいう『抗弁』の性質が『消滅』から『阻止』になるんだろうね」
甲
「解除は、債務を確定的に消滅させるんだね」
乙
「履行できなくなっても、必ず解除できるとは限らないからね」
甲
「具体的には?」
乙
「相手方に解除の意思表示ができない場合とかだね」
甲
「2項前段は、債権者に帰責事由がある場合だね」
乙
「同項を適用した判例でノースウエスト航空事件があるけど、改正で影響はあるの?」
甲
「特にないらしい」
「2項の改正は字句の修正にすぎないからね」
乙
「2項後段の利益償還請求権も、特に影響ないんだね」
(ノースウエスト航空事件・裁判所のサイト)
最判昭和62年7月17日民集第41巻5号1283頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55183
最判昭和62年7月17日民集第41巻5号1350頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55184
(一問一答 民法(債権関係)改正p227-9)
(我妻・有泉コンメンタール民法p1090-2)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7694.html
(要件事実マニュアル1・p22-4、同2・p21-4)
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9255
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9256
(新しい債権法を読みとくp102)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=3610576
※ 法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。 下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。