(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の3 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第3項及び第4項の規定を準用する。
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
甲
「賃貸不動産は、譲渡人と譲受人が合意すれば賃貸人の地位が移転するんだね」
乙
「賃借人の承諾は必要ないんだね」
甲
「これも539条の2の例外だね」
乙
「判例※の明文化でもあるね」
甲
「前条つまり605条の2との違いは?」
乙
「前条1項は、賃借権に対抗要件が備わっていれば、賃貸不動産の譲渡人・譲受人の合意も必要ない」
甲
「本条後段で、前条3・4項を準用しているね」
乙
「要するに、賃貸不動産の登記をしなければ賃借人に対抗できない、費用償還・敷金返還債務は譲受人が承継するんだね」
甲
「前条は『第1項』つまり賃借権に対抗要件が備わっている場合だね」
乙
「本条は、賃借権の対抗要件を備えていなくていい」
甲
「賃貸人の債務承継は、賃借権に対抗要件が備わっているかどうかは問題とならないの?」
乙
「どちらも同様らしいね」
第539条の2 契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。
(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の2 前条、借地借家法(平成3年法律第90号)第10条又は第31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
3 第1項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4 第1項又は第2項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第608条の規定による費用の償還に係る債務及び第622条の2第1項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。
判例※
最判昭和46年4月23日民集第25巻3号388頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53193
(一問一答 民法(債権関係)改正p313,319-20)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。