2019年6月2日日曜日

債権各論71 民法586条

【第4節 交換】
※改正なし
第586条 交換は、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約することによって、その効力を生ずる。
2 当事者の一方が他の権利とともに金銭の所有権を移転することを約した場合におけるその金銭については、売買の代金に関する規定を準用する。

(e-Gove法令検索) 
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
わらしべ長者のイラスト

「売買だと『代金』つまり『金銭の所有権』だけど、交換は金銭を使わないんだね」

「一部でも金銭を使うと、売買の規定を準用するんだね」

「補足金と呼ぶんだね」

「2つの売買契約を補足金付交換契約と課税当局が認定したのが問題になった判例※があるね」

「課税される額は、
2つの売買契約<交換契約
なんだね」

「この判例ではそうだね」

「民法上は売買契約の成立が認められるの?」

「真意は交換なのに2つの売買に分けて虚偽表示をした、というわけではないね」

「交換・売買のどちらでも所有権の移転とかの目的を達成できるなら、当事者の意思を尊重するんだね」

「契約自由の原則だからね」

「民法=私法上は売買、税法上は交換として課税できる、というのはできないの?」

「税法上できるという規定がないらしいね」
「租税法律主義だから、規定がない以上交換として課税はできないと判断したのが高裁」
「最高裁も、高裁の結論を維持したよ」

(売買)
第555条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
(虚偽表示)
第94条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 略
(契約の締結及び内容の自由)
第521条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。

憲法
第84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

所得税法
(譲渡所得)
第33条 譲渡所得とは、資産の譲渡(略)による所得をいう。
2 略
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から(略)用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(略)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(略)でその資産の取得の日以後5年以内にされたものによる所得(略)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
(収入金額)
第36条 その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(略)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 略

判例※
東京高判平成11年6月21日高民集52巻26頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=20144


最判平成15年6月13日税務訴訟資料253号順号9367

(新 実務家のための税務相談(民法編)p177)
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641131972

(税務判例が読めるようになるp108-27)
http://www.zaikyo.or.jp/publishing/books/007101.shtml
(我妻・有泉コンメンタール民法p1189)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7694.html
(租税判例百選 第4版p38-41)
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/4641114781