2019年6月4日火曜日

債権各論73 改正民法587条の2

(書面でする消費貸借等)
第587条の2 前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
2 書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。
3 書面でする消費貸借は、借主が貸主から金銭その他の物を受け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。
4 消費貸借がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その消費貸借は、書面によってされたものとみなして、前3項の規定を適用する。
 

(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
 
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※) 
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf

「消費貸借を書面でするなら、587条の『受け取る』が要件じゃなくなるんだね」

「諾成的消費貸借契約だね」

「判例※はあったよね」

「金融機関は、契約書をつくった後に貸金を振り込んだりするからね」

「単に諾成契約にする、不要式契約だと問題なの?」

「贈与と同じで、安易な口約束で拘束するのを防ぐんだね」

「受け取るまでは、借主が解除できるんだね」

「2項前段だね」

「解除したら、2項後段で借主が損害賠償請求されるの?」

「あり得るけど、貸主がもらえるはずだった利息は『損害』には該当しないらしいね」

「受け取る前に貸主か借主が破産するとどうなるの?」

「3項で失効するね」

「4項は、電磁的記録を書面とみなすんだね」

「保証と一緒だね」

「電磁的記録の定義は、改正151条4項だね」

「書面とみなすけど、扱いが違う場合はあるの?」

「消費貸借の契約書は、印紙税が課される」
「国会の答弁では、電磁的記録は印紙税が課されないらしい」

(消費貸借)
第587条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
(書面によらない贈与の解除)
第550条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
(保証人の責任等)
第446条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)
第151条 2・3 略
4 (略)電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)略

印紙税法
(課税物件)
第2条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する。
課税物件表1号3 消費貸借に関する契約書

(印紙税に関する質問に対する答弁書:第162回国会(常会)答弁書第9号平成17年3月15日)
「文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されない」
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/162/touh/t162009.htm

判例※
最判昭和48年3月16日金融法務事情683号25頁
(法務省パンフ)
http://www.moj.go.jp/content/001289629.pdf


(法務省資料)
http://www.moj.go.jp/content/001259613.pdf

(国税庁タックスアンサーNo.7101 不動産の譲渡・消費貸借等に関する契約書)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7101.htm

 (一問一答 民法(債権関係)改正p290,292-4)  
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332 
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。