(賃借人による修繕)
第607条の2 賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
二 急迫の事情があるとき。
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
甲
「賃借人も修繕できる場合だね」
乙
「原則は賃貸人が修繕をするから、賃貸人への通知義務があるんだけどね」
甲
「1号2号の場合だね」
乙
「柱書にある必要な場合で、
・賃貸人が修繕しない
・急迫の事情
だね」
甲
「『できる』の効果は?」
乙
「修繕が債務不履行や不法行為にならない、賃貸人に修繕義務があるなら費用償還が請求できる」
(賃貸人による修繕等)
第606条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。
(賃借人の通知義務)
第615条 賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、略
(賃借人による費用の償還請求)
第608条 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
2 略
(一問一答 民法(債権関係)改正p321)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。
弁護士が法改正等を読み、主に対話形式で説明を試みます。 司法試験で行っていた勉強法、いわゆるセルフレクチャー※を文字起こししたイメージです。 ※自分で自分に説明して理解や記憶を目指す、「夢をかなえる勉強法」(伊藤真著)等参照。 ※本文の法令・リンク先の情報は投稿時のものです。
2019年6月30日日曜日
2019年6月29日土曜日
債権各論96 民法607条
(賃借人の意思に反する保存行為)
第607条 賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
甲
「保存行為って?」
乙
「103条とかにある、財産の現状を維持する法律行為だね」
甲
「具体的には?」
乙
「家屋の修繕、消滅時効の中断、期限到来済の債務の弁済、腐りやすい物の処分だね」
「時効の中断は、改正によって完成猶予・更新になるね」
甲
「保存行為でも、場合によっては賃借人が解除できるんだね」
乙
「保存行為が賃借人の意思に反して、目的達成できなくなるときだね」
(権限の定めのない代理人の権限)
第103条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
第147条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第275条第1項の和解又は民事調停法(昭和26年法律第222号)若しくは家事事件手続法(平成23年法律第52号)による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。
(我妻・有泉コンメンタール民法p223,1239)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7694.html
第607条 賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
甲
「保存行為って?」
乙
「103条とかにある、財産の現状を維持する法律行為だね」
甲
「具体的には?」
乙
「家屋の修繕、消滅時効の中断、期限到来済の債務の弁済、腐りやすい物の処分だね」
「時効の中断は、改正によって完成猶予・更新になるね」
甲
「保存行為でも、場合によっては賃借人が解除できるんだね」
乙
「保存行為が賃借人の意思に反して、目的達成できなくなるときだね」
(権限の定めのない代理人の権限)
第103条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
第147条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第275条第1項の和解又は民事調停法(昭和26年法律第222号)若しくは家事事件手続法(平成23年法律第52号)による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。
(我妻・有泉コンメンタール民法p223,1239)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7694.html
2019年6月28日金曜日
債権各論95 改正民法606条
(賃貸人による修繕等)
第606条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
甲
「1項に、ただし書きが加わるんだね」
乙
「原則は、賃貸人つまり貸したほうが修繕しないといけないね」
甲
「賃借人つまり借りたほうに帰責事由がある場合は、修繕義務がないんだね」
乙
「当事者間の公平を図るためだね」
(一問一答 民法(債権関係)改正p311)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。
第606条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
甲
「1項に、ただし書きが加わるんだね」
乙
「原則は、賃貸人つまり貸したほうが修繕しないといけないね」
甲
「賃借人つまり借りたほうに帰責事由がある場合は、修繕義務がないんだね」
乙
「当事者間の公平を図るためだね」
(一問一答 民法(債権関係)改正p311)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。
2019年6月27日木曜日
債権各論94 改正民法605条の4
(不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)
第605条の4 不動産の賃借人は、第605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三者に対する妨害の停止の請求
二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
甲
「妨害の停止、返還の規定だね」
乙
「判例※の明文化だね」
甲
「占有権に同じような規定があるね」
乙
「198-200条だね」
甲
「本条1号は妨害排除、2号は返還の規定だね」
乙
「占有権でいう198条・200条にあたるね」
甲
「199条にあたる、妨害予防の規定はないの?」
乙
「明文化は見送ったよ」
甲
「理由は?」
乙
「賃借権は債権だからね」
甲
「具体的には?」
乙
「債権に物権的請求権を認めるのは例外であるべきだからだよ」
(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の2 前条、借地借家法(平成3年法律第90号)第10条又は第31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 略
(占有保持の訴え)
第198条 占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
(占有保全の訴え)
第199条 占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
(占有回収の訴え)
第200条 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
2 略
判例※
最判昭和28年12月18日民集第7巻12号1515頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56138
(一問一答 民法(債権関係)改正p314)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
(我妻・有泉コンメンタール民法p1237-8)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7694.html
(要件事実マニュアル2p335-6)
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9256
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。
第605条の4 不動産の賃借人は、第605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三者に対する妨害の停止の請求
二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
甲
「妨害の停止、返還の規定だね」
乙
「判例※の明文化だね」
甲
「占有権に同じような規定があるね」
乙
「198-200条だね」
甲
「本条1号は妨害排除、2号は返還の規定だね」
乙
「占有権でいう198条・200条にあたるね」
甲
「199条にあたる、妨害予防の規定はないの?」
乙
「明文化は見送ったよ」
甲
「理由は?」
乙
「賃借権は債権だからね」
甲
「具体的には?」
乙
「債権に物権的請求権を認めるのは例外であるべきだからだよ」
(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の2 前条、借地借家法(平成3年法律第90号)第10条又は第31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 略
(占有保持の訴え)
第198条 占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
(占有保全の訴え)
第199条 占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
(占有回収の訴え)
第200条 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
2 略
判例※
最判昭和28年12月18日民集第7巻12号1515頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56138
(一問一答 民法(債権関係)改正p314)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
(我妻・有泉コンメンタール民法p1237-8)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7694.html
(要件事実マニュアル2p335-6)
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9256
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。
2019年6月26日水曜日
債権各論93 改正民法605条の3
(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の3 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第3項及び第4項の規定を準用する。
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
甲
「賃貸不動産は、譲渡人と譲受人が合意すれば賃貸人の地位が移転するんだね」
乙
「賃借人の承諾は必要ないんだね」
甲
「これも539条の2の例外だね」
乙
「判例※の明文化でもあるね」
甲
「前条つまり605条の2との違いは?」
乙
「前条1項は、賃借権に対抗要件が備わっていれば、賃貸不動産の譲渡人・譲受人の合意も必要ない」
甲
「本条後段で、前条3・4項を準用しているね」
乙
「要するに、賃貸不動産の登記をしなければ賃借人に対抗できない、費用償還・敷金返還債務は譲受人が承継するんだね」
甲
「前条は『第1項』つまり賃借権に対抗要件が備わっている場合だね」
乙
「本条は、賃借権の対抗要件を備えていなくていい」
甲
「賃貸人の債務承継は、賃借権に対抗要件が備わっているかどうかは問題とならないの?」
乙
「どちらも同様らしいね」
第539条の2 契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。
(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の2 前条、借地借家法(平成3年法律第90号)第10条又は第31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
3 第1項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4 第1項又は第2項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第608条の規定による費用の償還に係る債務及び第622条の2第1項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。
判例※
最判昭和46年4月23日民集第25巻3号388頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53193
(一問一答 民法(債権関係)改正p313,319-20)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。
第605条の3 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第3項及び第4項の規定を準用する。
(e-Gove法令検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
甲
「賃貸不動産は、譲渡人と譲受人が合意すれば賃貸人の地位が移転するんだね」
乙
「賃借人の承諾は必要ないんだね」
甲
「これも539条の2の例外だね」
乙
「判例※の明文化でもあるね」
甲
「前条つまり605条の2との違いは?」
乙
「前条1項は、賃借権に対抗要件が備わっていれば、賃貸不動産の譲渡人・譲受人の合意も必要ない」
甲
「本条後段で、前条3・4項を準用しているね」
乙
「要するに、賃貸不動産の登記をしなければ賃借人に対抗できない、費用償還・敷金返還債務は譲受人が承継するんだね」
甲
「前条は『第1項』つまり賃借権に対抗要件が備わっている場合だね」
乙
「本条は、賃借権の対抗要件を備えていなくていい」
甲
「賃貸人の債務承継は、賃借権に対抗要件が備わっているかどうかは問題とならないの?」
乙
「どちらも同様らしいね」
第539条の2 契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。
(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の2 前条、借地借家法(平成3年法律第90号)第10条又は第31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
3 第1項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4 第1項又は第2項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第608条の規定による費用の償還に係る債務及び第622条の2第1項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。
判例※
最判昭和46年4月23日民集第25巻3号388頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53193
(一問一答 民法(債権関係)改正p313,319-20)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。
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