(入札又は競り売り以外の方法による売却)
第51条 裁判所書記官は、入札又は競り売りの方法により売却を実施させても適法な買受けの申出がなかつたとき(買受人が代金を納付しなかつたときを含む。)は、執行官に対し、やむを得ない事由がある場合を除き、3月以内の期間を定め、他の方法により不動産の売却を実施すべき旨を命ずることができる。この場合においては、売却の実施の方法その他の条件を付することができる。
2 裁判所書記官は、前項の規定により売却の実施を命じようとするときは、あらかじめ、差押債権者の意見を聴かなければならない。ただし、その者が、強制競売の申立てに際し、当該売却の実施について意見を述べたときは、この限りでない。
3 前項本文に規定する場合には、執行裁判所は、買受けの申出の保証の額を定めなければならない。
4 前項の買受けの申出の保証は、買受けの申出の際に金銭又は執行裁判所が相当と認める有価証券を執行官に提出する方法により提供しなければならない。
5 裁判所書記官は、第1項の規定により売却の実施を命じたときは、各債権者及び債務者に対し、その旨を通知しなければならない。
6 執行官は、第1項の規定による裁判所書記官の処分に基づいて不動産の売却を実施した場合において、買受けの申出があつたときは、速やかに、不動産の表示、買受けの申出をした者の氏名又は名称及び住所並びに買受けの申出の額及び年月日を記載した調書を作成し、保証として提出された金銭又は有価証券と共にこれを執行裁判所に提出しなければならない。
7 前項の調書が提出されたときは、執行裁判所は、遅滞なく、売却決定期日を定めなければならない。
8 前項の規定により売却決定期日が定められたときは、裁判所書記官は、第37条各号に掲げる者及び買受けの申出をした者に対し、その期日を開く日時及び場所を通知しなければならない。
9 第31条の2の規定は執行官が第1項の規定による裁判所書記官の処分に基づいて不動産の売却を実施した場合について、第44条第2項の規定は第6項の調書について準用する。この場合において、第31条の2中「差押債権者」とあるのは「買受けの申出をしようとする者」と、「執行裁判所」とあるのは「執行官」と、同条第1項中「法第63条第2項第1号の申出をするときは、次に掲げる書類」とあるのは「次に掲げる書類」と読み替えるものとする。
(民事執行規則(原文は縦書き))
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2020/3minjisikkoukisoku.pdf
(新旧対照表)
https://www.sn-hoki.co.jp/data/pickup_hourei/onct/MINJISHI-KISOKU20191127-5.html
甲
「入札・競り売り以外の売却だね」
乙
「特別売却というらしいね」
甲
「2項で、差押債権者の意見聴取を義務付けているね」
乙
「入札・競り売りより、差押債権者に不利になるかもしれないからだね」
甲
「3項4項は保証だね」
乙
「本条が民事執行法66条の『最高裁判所規則で定めるところ』らしいね」
(買受けの申出の保証)
第66条 不動産の買受けの申出をしようとする者は、最高裁判所規則で定めるところにより、執行裁判所が定める額及び方法による保証を提供しなければならない。
甲
「5項は、特別売却の通知だね」
乙
「民事執行法64条6項の、異議申立ての機会を与えるためだね」
(売却の方法及び公告)
第64条 不動産の売却は、裁判所書記官の定める売却の方法により行う。
3 裁判所書記官は、入札又は競り売りの方法により売却をするときは、売却の日時及び場所を定め、執行官に売却を実施させなければならない。
4 前項の場合においては、第20条において準用する民事訴訟法第93条第1項の規定にかかわらず、売却決定期日は、裁判所書記官が、売却を実施させる旨の処分と同時に指定する。
6 第1項、第3項又は第4項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
甲
「6項は、特別売却調書だね」
乙
「『買受けの申出があつたとき』でいいんだね」
甲
「7項は、売却決定期日の指定だね」
乙
「指定が『遅滞なく』で期日そのものの期限は特にないけど、できる限り短期間とされるね」
甲
「8項は、売却決定期日の通知だね」
乙
「37条各号と、買受申出者に通知するんだね」
(入札期日等の通知)
第37条 裁判所書記官は、入札期日等を定めたときは、次に掲げる者に対し、入札期日等を開く日時及び場所を通知しなければならない。
一 差押債権者及び債務者
二 配当要求をしている債権者
三 当該不動産について差押えの登記前に登記がされた権利を有する者
四 知れている抵当証券の所持人及び裏書人
五 その他執行裁判所が相当と認める者
甲
「31条の2を準用するんだね」
乙
「1項1号ヘで、暴力団員等でない陳述をする必要があるんだね」
(剰余を生ずる見込みのない場合等の差押債権者による買受けの申出)
第31条の2 【買受けの申出をしようとする者】は、【次に掲げる書類】を【執行官】に提出しなければならない。
一 次に掲げる事項を記載し、【買受けの申出をしようとする者】(略)が記名押印した陳述書
イ 【買受けの申出をしようとする者】の氏名(略)又は名称及び住所
ロ 【買受けの申出をしようとする者】が個人であるときは、その生年月日及び性別
ハ 【買受けの申出をしようとする者】が法人であるときは、その役員の氏名(略)、住所、生年月日及び性別
ニ 自己の計算において【買受けの申出をしようとする者】に買受けの申出をさせようとする者がある場合であつて、その者が個人であるときは、その氏名(略)、住所、生年月日及び性別
ホ 自己の計算において【買受けの申出をしようとする者】に買受けの申出をさせようとする者がある場合であつて、その者が法人であるときは、その名称及び住所並びにその役員の氏名(略)、住所、生年月日及び性別
ヘ 【買受けの申出をしようとする者】(略)及び自己の計算において【買受けの申出をしようとする者】に買受けの申出をさせようとする者(略)が暴力団員等(略)に該当しないこと。
二 【買受けの申出をしようとする者】が個人であるときは、その住民票の写しその他のその氏名、住所、生年月日及び性別を証するに足りる文書
三 自己の計算において【買受けの申出をしようとする者】に買受けの申出をさせようとする者がある場合であつて、その者が個人であるときは、その住民票の写しその他のその氏名、住所、生年月日及び性別を証するに足りる文書
2 【買受けの申出をしようとする者】は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める文書の写しを【執行官】に提出するものとする。
一 【買受けの申出をしようとする者】が第51条の7第3項に規定する指定許認可等を受けて事業を行つている者である場合 その者が当該指定許認可等を受けていることを証する文書
二 自己の計算において【買受けの申出をしようとする者】に買受けの申出をさせようとする者が第51条の7第3項に規定する指定許認可等を受けて事業を行つている者である場合 その者が当該指定許認可等を受けていることを証する文書
甲
「民事執行法65条の2だね」
乙
「暴力団員等の定義は1号にあるね」
(暴力団員等に該当しないこと等の陳述)
第65条の2 不動産の買受けの申出は、
次の各号のいずれにも該当しない旨を買受けの申出をしようとする者(略)が最高裁判所規則で定めるところにより陳述しなければ、することができない。
一 買受けの申出をしようとする者(略)が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(略)第2条第6号に規定する暴力団員(略)又は暴力団員でなくなつた日から5年を経過しない者(以下この目において「暴力団員等」という。)であること。
甲
「44条2項は、6項の特別売却調書に準用するんだね」
乙
「署名押印させるんだね」
(期日入札調書)
第44条
2 執行官は、最高価買受申出人及び次順位買受申出人又はこれらの代表者若しくは代理人に、期日入札調書に署名押印させなければならない。この場合においては、第13条第2項後段の
規定を準用する。
(条解民事執行規則(第四版)上〔第1条~第98条の2〕p282-91)
http://www.hosokai.or.jp/item/annai/data/202005.html#01
(Q&A令和元年改正民事執行法制p462-3)
https://www.kinzai.jp/item/b13540/