弁護士が法改正等を読み、主に対話形式で説明を試みます。 司法試験で行っていた勉強法、いわゆるセルフレクチャー※を文字起こししたイメージです。 ※自分で自分に説明して理解や記憶を目指す、「夢をかなえる勉強法」(伊藤真著)等参照。 ※本文の法令・リンク先の情報は投稿時のものです。
2020年9月28日月曜日
改正民事執行規則10 (競り売り)50条
(競り売り)
第50条 不動産を売却するための競り売りは、競り売り期日に買受けの申出の額を競り上げさせる方法により行う。
2 買受けの申出をした者は、より高額の買受けの申出があるまで、申出の額に拘束される。
3 執行官は、買受けの申出の額のうち最高のものを3回呼び上げた後、その申出をした者を最高価買受申出人と定め、その氏名又は名称及び買受けの申出の額を告げなければならない。
4 第31条の2、第35条から第37条まで、第38条第3項から第5項まで、第39条、第40条、第41条第3項、第43条、第44条第1項(第2号、第6号及び第7号を除く。)及び第2項並びに第45条の規定は、競り売りについて準用する。この場合において、第31条の2中「差押債権者」とあり、並びに第38条第3項及び第4項中「入札人」とあるのは「買受けの申出をしようとする者」と、第31条の2中「執行裁判所」とあるのは「執行官」と、同条第1項中「法第63条第2項第1号の申出をするときは、次に掲げる書類」とあるのは「次に掲げる書類」と、第38条第5項中「入札」とあるのは「買受けの申出」と、第41条第3項中「開札が終わつたときは、執行官は、最高価買受申出人を定め、その氏名又は名称及び入札価額を告げ、かつ」とあるのは、「執行官は」と読み替えるものとする。
(民事執行規則(原文は縦書き))
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2020/3minjisikkoukisoku.pdf
(新旧対照表)
https://www.sn-hoki.co.jp/data/pickup_hourei/onct/MINJISHI-KISOKU20191127-5.html
甲
「競り売りだね」
乙
「1項で、『競り上げさせる方法』としているね」
甲
「2項は、買受け申出の拘束だね」
乙
「より高額な申出がないといけないんだね」
甲
「3項は、最高価買受申出人の決定方法だね」
乙
「3回呼び上げるんだね」
甲
「4項は、準用規定だね」
乙
「31条の2では読み替えがあるね」
(剰余を生ずる見込みのない場合等の差押債権者による買受けの申出)【読み替え】
第31条の2 【買受けの申出をしようとする者】は、【次に掲げる書類】を【執行官】に提出しなければならない。
一 次に掲げる事項を記載し、【買受けの申出をしようとする者】(略)が記名押印した陳述書
イ 【買受けの申出をしようとする者】の氏名(略)又は名称及び住所
ロ 【買受けの申出をしようとする者】が個人であるときは、その生年月日及び性別
ハ 【買受けの申出をしようとする者】が法人であるときは、その役員の氏名(略)、住所、生年月日及び性別
ニ 自己の計算において【買受けの申出をしようとする者】に買受けの申出をさせようとする者がある場合であつて、その者が個人であるときは、その氏名(略)、住所、生年月日及び性別
ホ 自己の計算において【買受けの申出をしようとする者】に買受けの申出をさせようとする者がある場合であつて、その者が法人であるときは、その名称及び住所並びにその役員の氏名(略)、住所、生年月日及び性別
ヘ 【買受けの申出をしようとする者】(略)及び自己の計算において【買受けの申出をしようとする者】に買受けの申出をさせようとする者(略)が暴力団員等(略)に該当しないこと。
二 【買受けの申出をしようとする者】が個人であるときは、その住民票の写しその他のその氏名、住所、生年月日及び性別を証するに足りる文書
三 自己の計算において【買受けの申出をしようとする者】に買受けの申出をさせようとする者がある場合であつて、その者が個人であるときは、その住民票の写しその他のその氏名、住所、生年月日及び性別を証するに足りる文書
2 【買受けの申出をしようとする者】は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める文書の写しを【執行官】に提出するものとする。
一 【買受けの申出をしようとする者】が第51条の7第3項に規定する指定許認可等を受けて事業を行つている者である場合 その者が当該指定許認可等を受けていることを証する文書
二 自己の計算において【買受けの申出をしようとする者】に買受けの申出をさせようとする者が第51条の7第3項に規定する指定許認可等を受けて事業を行つている者である場合 その者が当該指定許認可等を受けていることを証する文書
甲
「35条から37条も準用するね」
乙
「競り売りの期日指定・公告・通知は、入札の規定によるんだね」
(入札期日の指定等)
第35条 裁判所書記官は、期日入札の方法により不動産を売却するときは、入札期日を定めなければならない。
2 裁判所書記官は、法第64条第4項の規定により売却決定期日を指定するときは、やむを得ない事由がある場合を除き、入札期日から3週間以内の日を指定しなければならない。
(期日入札の公告等)
第36条 裁判所書記官は、入札期日及び売却決定期日(略)を定めたときは、入札期日の2週間前までに、法第64条第5項に規定する事項のほか、次に掲げる事項を公告しなければならない。
一 事件の表示
二 売却決定期日を開く日時及び場所
三 買受可能価額(略)
四 買受けの申出の保証の額及び提供の方法
五 法第61条の規定により不動産を一括して売却することを定めたときは、その旨
六 第33条の規定により買受けの申出をすることができる者の資格を制限したときは、その制限の内容
七 不動産に対して課される租税その他の公課の額
八 物件明細書、現況調査報告書及び評価書の内容が入札期日の1週間前までに公開される旨
及び公開の方法
2 裁判所書記官は、不動産所在地の市町村に対し、公告事項を記載した書面を当該市町村の掲示場に掲示するよう入札期日の2週間前までに嘱託しなければならない。ただし、公告事項の要旨及び不動産の買受けの申出の参考となるべき事項を公示したときは、この限りでない。
(入札期日等の通知)
第37条 裁判所書記官は、入札期日等を定めたときは、次に掲げる者に対し、入札期日等を開く日時及び場所を通知しなければならない。
一 差押債権者及び債務者
二 配当要求をしている債権者
三 当該不動産について差押えの登記前に登記がされた権利を有する者
四 知れている抵当証券の所持人及び裏書人
五 その他執行裁判所が相当と認める者
甲
「38条は3項から5項までだね」
乙
「法人・代理・共同買受けの場合だね」
(期日入札における入札)【読み替え】
第38条
3 法人である【買受けの申出をしようとする者】は、代表者の資格を証する文書を執行官に提出しなければならない。
4 【買受けの申出をしようとする者】の代理人は、代理権を証する文書を執行官に提出しなければならない。
5 共同して【買受けの申出】をしようとする者は、あらかじめ、これらの者の関係及び持分を明らかにして執行官の許可を受けなければならない。
甲
「39条・40条も準用するね」
乙
「保証だね」
(期日入札における買受けの申出の保証の額)
第39条 期日入札における買受けの申出の保証の額は、売却基準価額の10分の2とする。
2 執行裁判所は、相当と認めるときは、前項の額を超える保証の額を定めることができる。
(期日入札における買受けの申出の保証の提供方法)
第40条 前条の買受けの申出の保証は、入札書を差し出す際に次に掲げるもの(略)を執行官に提出する方法により提供しなければならない。
一 金銭
二 銀行又は執行裁判所の定める金融機関が自己を支払人として振り出した持参人払式の一
般線引小切手で、提示期間の満了までに5日以上の期間のあるもの
三 銀行又は執行裁判所の定める金融機関が執行裁判所の預金口座のある銀行を支払人とし
て振り出した持参人払式の一般線引小切手で、提示期間の満了までに5日以上の期間のあるもの
四 銀行等が買受けの申出をしようとする者のために一定の額の金銭を執行裁判所の催告により納付する旨の期限の定めのない支払保証委託契約が買受けの申出をしようとする者と銀行等との間において締結されたことを証する文書
2 執行裁判所は、相当と認めるときは、金銭を提出する方法により買受けの申出の保証を提供することができない旨を定めることができる。
甲
「41条3項も準用するね」
乙
「『最高価買受申出人』等の部分は読み替えるんだね」
(入札期日の手続)【読み替え】
第41条
3 【執行官は】次順位買受けの申出(略)をすることができる入札人がある場合にあつては、その氏名又は名称及び入札価額を告げて次順位買受けの申出を催告した後、入札期日の終了を宣しなければならない。
甲
「43条も準用するね」
乙
「秩序維持だね」
(入札期日を開く場所における秩序維持)
第43条 執行官は、入札期日を開く場所における秩序を維持するため必要があると認めるときは、その場所に参集した者に対し身分に関する証明を求め、及び執行裁判所に対し援助を求めることができる。
甲
「44条1項2項も準用するね」
乙
「2号・6号・7号は除くんだね」
(期日入札調書)
第44条 執行官は、期日入札を実施したときは、速やかに、次に掲げる事項を記載した期
日入札調書を作成し、執行裁判所に提出しなければならない。
一 不動産の表示
【除く】二 入札の催告をした日時及び入札を締め切つた日時
三 最高価買受申出人及び次順位買受申出人の氏名又は名称及び住所並びに代理人の氏名及
び住所
四 最高価買受申出人及び次順位買受申出人の入札価額及び買受けの申出の保証の提供方法
五 適法な入札がなかつたときは、その旨
【除く】六 第41条第2項後段の規定により入札をした者以外の者を開札に立ち会わせたときは、その者の表示
【除く】七 第42条の規定により最高価買受申出人又は次順位買受申出人を定めたときは、その旨
八 法第65条に規定する措置を採つたときは、その理由及び採つた措置
2 執行官は、最高価買受申出人及び次順位買受申出人又はこれらの代表者若しくは代理人に、期日入札調書に署名押印させなければならない。この場合においては、第13条第2項後段の規定を準用する。
甲
「除くのは催告・締切の日時、立会い、同額の買受け申出の場合だね」
乙
「競り売りは締切・開札手続がなくて、同額の買受け申出ができないからだね」
(入札期日の手続)
第41条 執行官は、入札の催告をした後20分を経過しなければ、入札を締め切つてはならない。
2 執行官は、開札に際しては、入札をした者を立ち会わせなければならない。この場合において、入札をした者が立ち会わないときは、適当と認められる者を立ち会わせなければならない。
(期日入札における最高価買受申出人等の決定)
第42条 最高の価額で買受けの申出をした入札人が2人以上あるときは、執行官は、これらの者に更に入札をさせて最高価買受申出人を定める。この場合においては、入札人は、先の入札価額に満たない価額による入札をすることができない。
2 前項の入札人の全員が入札をしないときは、くじで最高価買受申出人を定める。同項の入札において最高の価額で買受けの申出をした入札人が2人以上あるときも、同様とする。
3 次順位買受けの申出をした入札人が2人以上あるときは、くじで次順位買受申出人を定める。
甲
「45条も準用するね」
乙
「買受け申出が失効した場合の保証返還等だね」
(期日入札における買受けの申出の保証の返還等)
第45条 最高価買受申出人及び次順位買受申出人以外の入札人から入札期日の終了後直ちに申出があつたときは、執行官は、速やかに、保証金等を返還しなければならない。
2 保証金等の返還に係る受取証は、期日入札調書に添付しなければならない。
3 第1項の規定により入札人に返還した保証金等以外の保証金等については、執行官は、速やかに、これを執行裁判所に提出しなければならない。
(条解民事執行規則(第四版)上〔第1条~第98条の2〕p278-82)
http://www.hosokai.or.jp/item/annai/data/202005.html#01
(Q&A令和元年改正民事執行法制p461-2)
https://www.kinzai.jp/item/b13540/