(禁止又は制限される行為)
第8条 乙は、甲の書面による承諾を得ることなく、本物件の全部又は一部につき、賃借権を譲渡し、又は転貸してはならない。
2 乙は、甲の書面による承諾を得ることなく、本物件の増築、改築、移転、改造若しくは模様替又は本物件の敷地内における工作物の設置を行ってはならない。
3 乙は、本物件の使用に当たり、別表第1に掲げる行為を行ってはならない。
4 乙は、本物件の使用に当たり、甲の書面による承諾を得ることなく、別表第2に掲げる行為を行ってはならない。
5 乙は、本物件の使用に当たり、別表第3に掲げる行為を行う場合には、甲に通知しなければならない。
(国交省・『賃貸住宅標準契約書』について)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023.html?fbclid=IwAR3haqoFoHW0rnfgVWTqvJLt472RdjNtKowJY5kWSAECw5EUlBpwEgwpr-8
甲
「1項は民法612条とほぼ同じだね」
乙
「民法は承諾手段・方法を限定していないけど、承諾が本当にあったか明確にするため『書面による』としているんだね」
甲
「2項は増改築等だね」
乙
「書面による承諾があればできるんだね」
甲
「3項は禁止事項だね」
乙
「別表第1の6号は、7条の反社会的勢力排除と同じ趣旨だね」
「6号から8号以外は禁止から外すことや、1号から8号以外の禁止事項を追加することも可能だね」
「例えば石油ストーブを禁止するのが考えられるけど、合理性があるかはともかく公序良俗違反とまでは言えないだろうね」
甲
「4項は承諾するかどうか個別に判断するんだね」
乙
「別表第2の3号を削除して、ペット可にすることも可能だね」
甲
「5項は通知を要するんだね」
乙
「通知しないと、同居人なのか無断転貸なのか、11条等の解約手続をしないで退去したのかわからないからだね」
「通知先を管理業者にすることもできるね」
甲
「別表第3の1号で括弧書きで、出生を除くとしているね」
乙
「子供が生まれたら解除する、という趣旨の特約は公序良俗違反と考えられるから、通知義務も課すべきでないという判断だろうね」
・民法
(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
(反社会的勢力の排除)
第7条 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約する。
一 自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という。)ではないこと。
二 自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。)が反社会的勢力ではないこと。
三 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないこと。
四 自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。
ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
2 乙は、甲の承諾の有無にかかわらず、本物件の全部又は一部につき、反社会的勢力に賃借権を譲渡し、又は転貸してはならない。
(乙からの解約)
第11条 乙は、甲に対して少なくとも30日前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
2 前項の規定にかかわらず、乙は、解約申入れの日から30日分の賃料(本契約の解約後の賃料相当額を含む。)を甲に支払うことにより、解約申入れの日から起算して30日を経過する日までの間、随時に本契約を解約することができる。
・民法
(公序良俗)
第90条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
(「子供が生まれたら退去すべし」との特約は有効か? )
https://www.osakaben.or.jp/web/radio/view.php?data=soudan_m122-19991030.txt
(国交省・◇「賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・連帯保証人型」pp15、24)
https://www.mlit.go.jp/common/001230366.pdf