弁護士が法改正等を読み、主に対話形式で説明を試みます。 司法試験で行っていた勉強法、いわゆるセルフレクチャー※を文字起こししたイメージです。 ※自分で自分に説明して理解や記憶を目指す、「夢をかなえる勉強法」(伊藤真著)等参照。 ※本文の法令・リンク先の情報は投稿時のものです。
2020年1月14日火曜日
契約書1 賃貸住宅標準契約書総論
(国交省・『賃貸住宅標準契約書』について)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023.html?fbclid=IwAR3haqoFoHW0rnfgVWTqvJLt472RdjNtKowJY5kWSAECw5EUlBpwEgwpr-8
甲
「賃貸住宅の、標準契約書だね」
乙
「国交省が公開してくれているね」
甲
「債権法改正に対応したものなの?」
乙
「『平成32年(2020年)4月1日に予定されている民法改正法の施行に向けて、ご活用ください。』とのことだね」
「だから、賃貸借契約書の記事で言及する条文は、2020年4月1日施行の条文だよ」
甲
「もちろん『賃貸』だから、民法601条の賃貸借契約だね」
乙
「『住宅』は『建物』だから、借地借家法上の建物賃貸借・借家でもあるね」
甲
「借地借家法が適用されるということだね」
乙
「適用される借地借家法は30条で強行規定としているから、借地借家法に反する契約条項は無効だね」
甲
「『建物』の使用目的は、もちろん住宅なら居住用だし、家じゃなくて事務所や店舗として貸し借りすることもあるよね」
乙
「たとえば借地借家法36条は、居住用建物の特則だね」
民法
【第7節 賃貸借】
【第1款 総則】
(賃貸借)
第601条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
借地借家法
【第1章 総則】
(趣旨)
第1条 この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
(強行規定)
第30条 この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
(居住用建物の賃貸借の承継)
第36条 居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後1月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2 前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権又は債務は、同項の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。
(国交省・◇「賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・連帯保証人型」)
https://www.mlit.go.jp/common/001230366.pdf
(新基本法コンメンタール 借地借家法[第2版]p18)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8058.html