2019年9月5日木曜日

債権各論162 改正民法666条

(消費寄託)
第666条 受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合には、受寄者は、寄託された物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還しなければならない。
2 第590条及び第592条の規定は、前項に規定する場合について準用する。
3 第591条第2項及び第3項の規定は、預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について準用する。
 

(e-Gove法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089


(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf

「消費貸借の規定を、包括的に準用するのは辞めるんだね」

「似てはいるけど、そもそも理念が違うからだね」

「消費貸借は、もっぱら借主にとって利益だね」

「消費寄託を含めて、寄託は預かってもらう寄託者にとって利益だから、この点ではベクトルが逆だね」

「消費寄託一般に準用するのは、担保責任と価額償還の規定だね」

「2項だね」

「3項の預貯金の場合は、消費寄託一般とは別に考えるの?」

「受寄者の金融機関は、貸付けとか運用で利益をあげるために金銭を預かるから、寄託者の利益だけではないね」

「預貯金は663条2項があると不都合なので、591条2項でいつでも返還できるようにしたんだね」

「貸付債権と預貯金債権を相殺できるようにしたんだね」

(貸主の引渡義務等)
第590条 第551条の規定は、前条第1項の特約のない消費貸借について準用する。
2 前条第1項の特約の有無にかかわらず、貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができる。
(贈与者の引渡義務等)
第551条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
2 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。

(価額の償還)
第592条 借主が貸主から受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることができなくなったときは、その時における物の価額を償還しなければならない。ただし、第402条第2項に規定する場合は、この限りでない。
(金銭債権)
第402条 略
2 債権の目的物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用の効力を失っているときは、債務者は、他の通貨で弁済をしなければならない。
3 略

(寄託物の返還の時期)
第663条 当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。
2 返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。

(返還の時期)
第591条 略
2 借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる。
3 当事者が返還の時期を定めた場合において、貸主は、借主がその時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。
 


(一問一答 民法(債権関係)改正p367-8)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
(我妻・有泉コンメンタール民法p1342-3)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。