2020年6月12日金曜日

印紙税12 印紙税法11条(書式表示による申告及び納付の特例)

(書式表示による申告及び納付の特例)
第11条 課税文書の作成者は、課税文書のうち、その様式又は形式が同一であり、かつ、その作成の事実が後日においても明らかにされているもので次の各号の一に該当するものを作成しようとする場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書を作成しようとする場所の所在地の所轄税務署長の承認を受け、相当印紙のはり付けに代えて、金銭をもつて当該課税文書に係る印紙税を納付することができる。
一 毎月継続して作成されることとされているもの

二 特定の日に多量に作成されることとされているもの
2 前項の承認の申請者が第15条の規定により命ぜられた担保の提供をしない場合その他印紙税の保全上不適当と認められる場合には、税務署長は、その承認を与えないことができる。
3 第1項の承認を受けた者は、当該承認に係る課税文書の作成の時までに、当該課税文書に財務省令で定める書式による表示をしなければならない。
4 第1項の承認を受けた者は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該課税文書が同項第1号に掲げる課税文書に該当する場合には毎月分(当該課税文書を作成しなかつた月分を除く。)をその翌月末日までに、当該課税文書が同項第2号に掲げる課税文書に該当する場合には同号に規定する日の属する月の翌月末日までに、その承認をした税務署長に提出しなければならない。

一 その月中(第1項第2号に掲げる課税文書にあつては、同号に規定する日)に作成した当該課税文書の号別及び種類並びに当該種類ごとの数量及び当該数量を税率区分の異なるごとに合計した数量(次号において「課税標準数量」という。)
二 課税標準数量に対する印紙税額及び当該印紙税額の合計額(次項において「納付すべき税額」という。)
三 その他参考となるべき事項
5 前項の規定による申告書を提出した者は、当該申告書の提出期限までに、当該申告書に記載した納付すべき税額に相当する印紙税を国に納付しなければならない。
6 第1項第1号の課税文書につき同項の承認を受けている者は、当該承認に係る課税文書につき同項の適用を受ける必要がなくなつたときは、政令で定める手続により、その旨を同項の税務署長に届け出るものとする。


「書式表示だね」
「『金銭をもつて』納付できるようにするんだね」

「1項の1号か2号の要件をみたす必要があるね」

「税務署長の承認も必要だね」

「承認の申請手続は、政令(印紙税法施行令)10条1項だね」


「2項は、承認しない場合だね」

「保全上不適当で、具体例は通達84条だね」


「3項は、承認された場合の義務だね」

「書式表示だね」
「財務省令、つまり印紙税法施行規則4条、別表第5だね」


「4項は、申告書の提出だね」

「政令10条2項3項だね」

「5項は、申告書提出後の納付だね」

「金銭での納付だね」


「6項は、必要がなくなった場合だね」

「手続名は『印紙税書式表示承認不適用届出手続』だね」
「政令10条8項だね」

【第4章 雑則】
(保全担保)
第15条 国税庁長官、国税局長又は税務署長は、印紙税の保全のために必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、第11条第1項又は第12条第1項の承認の申請者に対し、金額及び期間を指定して、印紙税につき担保の提供を命ずることができる。
2 国税庁長官、国税局長又は税務署長は、必要があると認めるときは、前項の金額又は期間を変更することができる。

・印紙税法施行令
(書式表示による申告及び納付の承認の申請等)
第10条 法第11条第1項の承認を受けようとする者は、当該承認を受けようとする課税文書の同項各号の区分ごとに、次に掲げる事項を記載した申請書を当該税務署長に提出しなければならない。
一 申請者の住所、氏名又は名称及び個人番号又は法人番号(個人番号又は法人番号を有しない者にあつては、住所及び氏名又は名称)
二 当該承認を受けようとする課税文書の次に掲げる区分に応じ、次に掲げる事項
イ 法第11条第1項第1号に掲げるもの 当該課税文書の号別及び種類並びに当該課税文書の作成につき同項の規定の適用を受けようとする最初の日
ロ 法第11条第1項第2号に掲げるもの 当該課税文書の号別及び種類並びに当該種類ごとの作成予定数量及び作成予定年月日
三 当該課税文書の様式又は形式
四 当該課税文書の作成の事実が明らかにされる方法
五 その他参考となるべき事項
2 法第11条第4項の規定による申告書には、同項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 申告者の住所、氏名又は名称及び個人番号又は法人番号(個人番号又は法人番号を有しない者にあつては、住所及び氏名又は名称)
二 当該申告に係る課税文書の作成場所
3 法第11条第4項の規定による申告書は、当該申告に係る課税文書の同条第1項各号の区分ごとに提出しなければならない。
4 法第11条第4項の規定による申告書を提出する義務がある者が当該申告書の提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合において、法第19条の規定によりその者の申告義務を承継した相続人(包括受遺者を含む。以下同じ。)が提出する当該申告書には、次に掲げる事項を併せて記載しなければならない。
一 各相続人の住所、氏名、個人番号、被相続人(包括遺贈者を含む。以下この号において同じ。)との続柄、民法(明治29年法律第89号)第900条から第902条まで(法定相続分・代襲相続人の相続分・遺言による相続分の指定)の規定による相続分及び相続(包括遺贈を含む。以下この号において同じ。)によつて得た財産の価額(個人番号を有しない者にあつては、住所、氏名、被相続人との続柄、同法第900条から第902条までの規定による相続分及び相続によつて得た財産の価額)
二 相続人が限定承認をした場合には、その旨
三 相続人が2人以上ある場合には、当該申告書の提出により納付すべき税額を第1号に規定する各相続人の相続分により按分して計算した額に相当する印紙税額
5 相続人が2人以上ある場合には、前項の申告書は、各相続人が連署して提出するものとする。ただし、当該申告書は、各相続人が各別に提出することを妨げない。
6 前項ただし書に規定する方法により第4項の申告書を提出する場合には、当該申告書には、同項第1号に掲げる事項のうち他の相続人の個人番号は、記載することを要しない。
7 第5項ただし書に規定する方法により第4項の申告書を提出した相続人は、直ちに、他の相続人に対し、当該申告書に記載した事項の要領を通知するものとする。
8 法第11条第6項の規定による届出は、次に掲げる事項を記載した書面により行うものとする。
一 届出者の住所、氏名又は名称及び個人番号又は法人番号(個人番号又は法人番号を有しない者にあつては、住所及び氏名又は名称)
二 当該適用を受ける必要がなくなる年月日並びにその課税文書の号別及び種類
三 当該課税文書につき法第11条第1項の承認を受けた年月日
四 その他参考となるべき事項
・印紙税法施行規則
(書式表示等の書式)
第4条 法第11条第3項及び第12条第3項に規定する財務省令で定める書式は、別表第5のとおりとする。



・印紙税法基本通達
第4節 書式表示による申告及び納付の特例
(様式又は形式が同一かどうかの判定)
第78条 法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項に規定する「様式又は形式が同一」に該当するかどうかは、おおむね、当該文書の名称、記載内容、大きさ、彩紋を基準として判定する。
(後日においても明らかにされているものの意義)
第79条 法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項に規定する「後日においても明らかにされているもの」とは、法第18条《記帳義務》第1項の規定に基づいて課税文書の作成に関する事実を帳簿に記載することにより結果的に作成事実が明らかにされるだけでなく、他の法律の規定、課税文書の性質、作成の状況等から判断して、当該課税文書を作成した後においても、その作成事実が明らかにされているものをいう。
(課税文書を作成しようとする場所の意義)
第80条 法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項に規定する「課税文書を作成しようとする場所」とは、次に掲げる課税文書の区分に応じ、それぞれ次に掲げる場所をいうものとする。
(1) 課税文書に作成しようとする場所が明らかにされているもの 当該作成しようとする場所
(2) (1)以外の課税文書で、証券代行会社等が、当該文書を作成しようとする者から委託を受けて事務を代行している場合における当該代行事務に係るもの 当該証券代行会社等の所在地
(3) 前2号以外の課税文書で、当該文書に作成しようとする者の事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地が記載されているもの 当該所在地(所在地が2以上ある場合は、作成しようとする場所として推定することができるいずれか一の所在地)
(4) 前各号以外の課税文書 当該課税文書を作成しようとする者の住所
(毎月継続して作成されることとされているものの意義等)
第81条 法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項第1号に規定する「毎月継続して作成されることとされているもの」とは、通常毎月継続して作成することとされているものをいうが、1か月以内において継続して作成することとされているものも、これに含めて取り扱う。
  なお、この場合において、当該課税文書に発行年月日等の通常作成した日と認められる日が記載されているものについては、当該日を作成日として取り扱って差し支えない。
(特定の日に多量に作成されることとされているものの意義等)
第82条 法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項第2号に規定する「特定の日に多量に作成されることとされているもの」とは、通常特定の日に多量に作成することとされているものをいい、毎月継続して特定の日に多量に作成されることとされているものは、同項第1号に該当するものとして取り扱う。
  なお、この場合において、当該課税文書に発行年月日等の通常作成した日と認められる日が記載されているものについては、当該日を特定の日として取り扱って差し支えない。
(書式表示の承認区分)
第83条 法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項に規定する書式表示の承認について、同項第1号の承認は、毎月継続的に作成することが予定されているものに対する包括承認であり、同項第2号の承認は、特定の日に多量に作成することが予定されているものに対する都度承認である。
2 課税事項の追記が予定されている文書については、当初に作成される文書に法第11条第1項に規定する承認を与えるほか、当初に作成される文書及び追記により作成したとみなされる文書に併せて同項の承認を与えることができるものとする。
なお、この場合においては、当該承認の効果の及ぶ範囲を明らかにしておく必要があることに留意する。
(書式表示の不承認)
第84条 次に掲げる場合には、原則として、法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項の規定による承認は与えない。
(1) 申請者が法第15条《保全担保》の規定により命ぜられた担保の提供をしない場合 
(2) 申請に係る課税文書の様式又は形式が同一でない場合
(3) 申請に係る課税文書について、法第11条第1項の規定による納付方法と他の納付方法とを併用するおそれがあると認められる場合
(4) 申請に係る課税文書の作成数量がきん少であると認められる場合
(5) 申請に係る課税文書の作成日、作成数量及び税率区分が容易に確認できないと認められる場合
(6) 申請者が過去1年以内において同項の規定による承認を取り消された者である場合
(7) 申請者が過去1年以内において法の規定に違反して告発された者である場合
(8) その他印紙税の保全上不適当と認められる場合
(納付方法の併用禁止)
第85条 法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項の規定による納付の特例は、相当印紙のはり付けに代えて、金銭をもって課税文書についての印紙税を納付するのであるから、当該課税文書と様式又は形式が同一の課税文書については、同項の規定による納付方法と相当印紙のはり付け等他の納付方法とを併用することができないことに留意する。
(承認に係る課税文書に相当印紙をはり付ける等の方法により印紙税を納付した場合)
第86条 法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項の規定により承認を受けた課税文書については、すべて同条の規定による申告及び納付をしなければならないのであるから留意する。したがって、当該文書について相当印紙をはり付ける方法等他の納付方法により納付した印紙税があるときは、申請に基づき当該印紙税の還付又は充当の処理をする。
(書式表示の承認に付す条件)
第87条 法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項の規定により書式表示の承認を与える場合には、次に掲げる条件を付する。
(1) 承認を受けた課税文書の受払い等に関する帳簿等の提示を求められたときは、速やかにこれに応ずること。
(2) 法第15条《保全担保》の規定により担保の提供を命ぜられたときは、速やかにこれに応ずること。
(申告書の記載事項)
第88条 法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第4項の規定による申告書の記載事項については、次による。(昭59間消3-24、平元間消3-15改正)
(1)  同項第1号に規定する「種類」とは、課税物件表に掲げる課税物件名及び当該課税物件名ごとの名称とする。
(例)
売上代金に係る金銭の受取書 領収証
(2) 同号に規定する「税率区分の異なるごと」とは、課税物件表の課税標準及び税率欄に掲げる税率の区分の異なるごとをいう。
2 第83条《書式表示の承認区分》第2項に規定する当初に作成された文書及び追記により作成したとみなされる文書につき併せて法第11条第1項に規定する承認を与えた場合には、同条第4項の規定による申告書には、それぞれ区分して記載させるものとする。
(非課税文書への書式表示)
第89条 規則第4条《書式表示等の書式》の規定による書式の表示は、印紙税が納付済みであることを表すものではなく、単に申告納税方式により納付するものであることを表すにすぎないから、法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項の規定による承認を受けた課税文書に、後日、金額等を記載したことによりそれが課税文書に該当しないこととなったとしても、当該表示を抹消する必要はない。
(書式表示の承認の取消し)
第90条 次に掲げる場合には、原則として、法第11条《書式表示による申告及び納付の特例》第1項の規定による承認を取り消す。
(1) 承認に係る課税文書の作成日、作成数量及び税率区分が容易に確認できなくなった場合
(2) 承認に係る課税文書の作成数量がきん少となった場合
(3) 承認を受けた者が法に違反して告発された場合
(4) 承認を受けた者が承認の条件に違反した場合
(5) その他印紙税の取締り上不適当と認められる場合

(国税庁HP 印紙税書式表示承認申請手続)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/inshi/annai/23120069.htm
(国税庁HP 印紙税書式表示承認不適用届出手続)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/inshi/annai/23120070.htm
(国税庁HP 質疑応答事例 書式表示による納付の特例)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/06/11.htm

(パンフレット・手引印紙税関係)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/01.htm#a-07
(税大講本 間接税法p50,72)
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/index.htm
(税務調査官の視点からつかむ 印紙税の実務と対策~顧問先に喜ばれる一歩踏み込んだアドバイス~p70)
https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/103326.html