2020年2月26日水曜日

改正民事執行法12 (譲渡命令等) 161条


(譲渡命令等)
第161条 差し押さえられた債権が、条件付若しくは期限付であるとき、又は反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その債権を執行裁判所が定めた価額で支払に代えて差押債権者に譲渡する命令(以下「譲渡命令」という。)、取立てに代えて、執行裁判所の定める方法によりその債権の売却を執行官に命ずる命令(以下「売却命令」という。)又は管理人を選任してその債権の管理を命ずる命令(以下「管理命令」という。)その他相当な方法による換価を命ずる命令を発することができる。
2 執行裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。ただし、債務者が外国にあるとき、又はその住所が知れないときは、この限りでない。
3 第1項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
4 第1項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
5 差し押さえられた債権が第152条第1項各号に掲げる債権又は同条第2項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第151条の2第1項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「確定しなければ」とあるのは、「確定し、かつ、債務者に対して差押命令が送達された日から4週間を経過するまでは、」とする。
6 執行官は、差し押さえられた債権を売却したときは、債務者に代わり、第3債務者に対し、確定日付のある証書によりその譲渡の通知をしなければならない。
7 第159条第2項及び第3項並びに前条の規定は譲渡命令について、第159条第7項の規定は譲渡命令に対する執行抗告について、第65条及び第68条の規定は売却命令に基づく執行官の売却について、第159条第2項の規定は管理命令について、第84条第3項及び第4項、第88条、第94条第2項、第95条第1項、第3項及び第4項、第98条から第104条まで並びに第106条から第110条までの規定は管理命令に基づく管理について、それぞれ準用する。この場合において、第84条第3項及び第4項中「代金の納付後」とあるのは、「第161条第7項において準用する第107条第1項の期間の経過後」と読み替えるものとする。

(e-Gove法令検索) 
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/354AC0000000004_20200401_501AC0000000002/0?revIndex=5&lawId=354AC0000000004 


(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※) 
http://www.moj.go.jp/content/001293954.pdf 

「譲渡命令、売却命令、管理命令その他だね」

「特別換価命令と総称するらしいね」

「5項は、効力発生時期の見直しだね」

「取立て・転付命令と同じだね」

「7項は、準用規定が多いね」

「準用する先の規定が改正されたことに伴うね」
(差押禁止債権)
第152条 次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
2 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の4分の3に相当する部分は、差し押さえてはならない。
3 債権者が前条第1項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前2項の規定の適用については、前2項中「4分の3」とあるのは、「2分の1」とする。
(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)
第151条の2 債権者が次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第30条第1項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても、債権執行を開始することができる。
一 民法第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
二 民法第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
三 民法第766条(同法第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
四 民法第877条から第880条までの規定による扶養の義務
2 略
(転付命令)
第159条 略
2 転付命令は、債務者及び第3債務者に送達しなければならない。
3 転付命令が第3債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
4-6 略
7 転付命令が発せられた後に第39条第1項第7号又は第8号に掲げる文書を提出したことを理由として執行抗告がされたときは、抗告裁判所は、他の理由により転付命令を取り消す場合を除き、執行抗告についての裁判を留保しなければならない。
(売却の場所の秩序維持)
第65条 執行官は、次に掲げる者に対し、売却の場所に入ることを制限し、若しくはその場所から退場させ、又は買受けの申出をさせないことができる。
一 他の者の買受けの申出を妨げ、若しくは不当に価額を引き下げる目的をもつて連合する等売却の適正な実施を妨げる行為をし、又はその行為をさせた者
二 他の民事執行の手続の売却不許可決定において前号に該当する者と認定され、その売却不許可決定の確定の日から2年を経過しない者
三 民事執行の手続における売却に関し刑法(明治40年法律第45号)第95条から第96条の5まで、第197条から第197条の4まで若しくは第198条、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号)第3条第1項第1号から第4号まで若しくは第2項(同条第1項第1号から第4号までに係る部分に限る。)又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成12年法律第130号)第1条第1項、第2条第1項若しくは第4条の規定により刑に処せられ、その裁判の確定の日から2年を経過しない者
(債務者の買受けの申出の禁止)
第68条 債務者は、買受けの申出をすることができない。
(売却代金の配当等の実施)
第84条 
3 代金の納付後に第39条第1項第1号から第6号までに掲げる文書の提出があつた場合において、他に売却代金の配当又は弁済金の交付(以下「配当等」という。)を受けるべき債権者があるときは、執行裁判所は、その債権者のために配当等を実施しなければならない。
4 代金の納付後に第39条第1項第7号又は第8号に掲げる文書の提出があつた場合においても、執行裁判所は、配当等を実施しなければならない。
(期限付債権の配当等)
第88条 確定期限の到来していない債権は、配当等については、弁済期が到来したものとみなす。
2 前項の債権が無利息であるときは、配当等の日から期限までの配当等の日における法定利率による利息との合算額がその債権の額となるべき元本額をその債権の額とみなして、配当等の額を計算しなければならない。
(管理人の選任)
第94条 
2 信託会社(信託業法(平成16年法律第154号)第3条又は第53条第1項の免許を受けた者をいう。)、銀行その他の法人は、管理人となることができる。
(管理人の権限)
第95条 管理人は、強制管理の開始決定がされた不動産について、管理並びに収益の収取及び換価をすることができる。
2 略
3 管理人が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、執行裁判所の許可を受けて、職務を分掌することができる。
4 管理人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その1人に対してすれば足りる。
(収益等の分与)
第98条 強制管理により債務者の生活が著しく困窮することとなるときは、執行裁判所は、申立てにより、管理人に対し、収益又はその換価代金からその困窮の程度に応じ必要な金銭又は収益を債務者に分与すべき旨を命ずることができる。
2 前条第2項の規定は前項の規定による決定について、同条第3項の規定は前項の申立て又はこの項において準用する前条第2項の申立てについての決定について準用する。
(管理人の監督)
第99条 管理人は、執行裁判所が監督する。
(管理人の注意義務)
第100条 管理人は、善良な管理者の注意をもつてその職務を行わなければならない。
2 管理人が前項の注意を怠つたときは、その管理人は、利害関係を有する者に対し、連帯して損害を賠償する責めに任ずる。
(管理人の報酬等)
第101条 管理人は、強制管理のため必要な費用の前払及び執行裁判所の定める報酬を受けることができる。
2 前項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(管理人の解任)
第102条 重要な事由があるときは、執行裁判所は、利害関係を有する者の申立てにより、又は職権で、管理人を解任することができる。この場合においては、その管理人を審尋しなければならない。
(計算の報告義務)
第103条 管理人の任務が終了した場合においては、管理人又はその承継人は、遅滞なく、執行裁判所に計算の報告をしなければならない。
(強制管理の停止)
第104条 第39条第1項第7号又は第8号に掲げる文書の提出があつた場合においては、強制管理は、配当等の手続を除き、その時の態様で継続することができる。この場合においては、管理人は、配当等に充てるべき金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
2 前項の規定により供託された金銭の額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができるときは、執行裁判所は、配当等の手続を除き、強制管理の手続を取り消さなければならない。
(配当等に充てるべき金銭等)
第106条 配当等に充てるべき金銭は、第98条第1項の規定による分与をした後の収益又はその換価代金から、不動産に対して課される租税その他の公課及び管理人の報酬その他の必要な費用を控除したものとする。
2 配当等に充てるべき金銭を生ずる見込みがないときは、執行裁判所は、強制管理の手続を取り消さなければならない。
(管理人による配当等の実施)
第107条 管理人は、前条第1項に規定する費用を支払い、執行裁判所の定める期間ごとに、配当等に充てるべき金銭の額を計算して、配当等を実施しなければならない。
2 債権者が1人である場合又は債権者が2人以上であつて配当等に充てるべき金銭で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、管理人は、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
3 前項に規定する場合を除き、配当等に充てるべき金銭の配当について債権者間に協議が調つたときは、管理人は、その協議に従い配当を実施する。
4 配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。
一 差押債権者のうち次のイからハまでのいずれかに該当するもの
イ 第1項の期間の満了までに強制管理の申立てをしたもの
ロ 第1項の期間の満了までに一般の先取特権の実行として第180条第2号に規定する担保不動産収益執行の申立てをしたもの
ハ 第1項の期間の満了までに第180条第2号に規定する担保不動産収益執行の申立てをしたもの(ロに掲げるものを除く。)であつて、当該申立てが最初の強制管理の開始決定に係る差押えの登記前に登記(民事保全法第53条第2項に規定する保全仮登記を含む。)がされた担保権に基づくもの
二 仮差押債権者(第1項の期間の満了までに、強制管理の方法による仮差押えの執行の申立てをしたものに限る。)
三 第1項の期間の満了までに配当要求をした債権者
5 第3項の協議が調わないときは、管理人は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
(管理人による配当等の額の供託)
第108条 配当等を受けるべき債権者の債権について第91条第1項各号(第7号を除く。)に掲げる事由があるときは、管理人は、その配当等の額に相当する金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。債権者が配当等の受領のために出頭しなかつたときも、同様とする。
(執行裁判所による配当等の実施)
第109条 執行裁判所は、第107条第5項の規定による届出があつた場合には直ちに、第104条第1項又は前条の規定による届出があつた場合には供託の事由が消滅したときに、配当等の手続を実施しなければならない。
(弁済による強制管理の手続の取消し)
第110条 各債権者が配当等によりその債権及び執行費用の全部の弁済を受けたときは、執行裁判所は、強制管理の手続を取り消さなければならない。
【読み替え】
4 第1項の規定による決定は、確定し、かつ、債務者に対して差押命令が送達された日から4週間を経過するまでは、その効力を生じない。

(売却代金の配当等の実施)
第84条 
3 【第161条第7項において準用する第107条第1項の期間の経過後】に第39条第1項第1号から第6号までに掲げる文書の提出があつた場合において、他に売却代金の配当又は弁済金の交付(以下「配当等」という。)を受けるべき債権者があるときは、執行裁判所は、その債権者のために配当等を実施しなければならない。
4 【第161条第7項において準用する第107条第1項の期間の経過後】に第39条第1項第7号又は第8号に掲げる文書の提出があつた場合においても、執行裁判所は、配当等を実施しなければならない。


(条解民事執行法p1389-98)
https://www.koubundou.co.jp/book/b480807.html

 ※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。