(債務不履行の責任等に関する経過措置)
第17条 施行日前に債務が生じた場合(施行日以後に債務が生じた場合であって、その原因である法律行為が施行日前にされたときを含む。附則第25条第1項において同じ。)におけるその債務不履行の責任等については、新法第412条第2項、第412条の2から第413条の2まで、第415条、第416条第2項、第418条及び第422条の2の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 新法第417条の2(新法第722条第1項において準用する場合を含む。)の規定は、施行日前に生じた将来において取得すべき利益又は負担すべき費用についての損害賠償請求権については、適用しない。
3 施行日前に債務者が遅滞の責任を負った場合における遅延損害金を生ずべき債権に係る法定利率については、新法第419条第1項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
4 施行日前にされた旧法第420条第1項に規定する損害賠償の額の予定に係る合意及び旧法第421条に規定する金銭でないものを損害の賠償に充てるべき旨の予定に係る合意については、なお従前の例による。
(e-Gove法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
甲
「1項は、債務発生が基準だね」
乙
「履行遅滞、履行不能、受領遅滞、債務不履行損害賠償とその範囲、過失相殺、代償請求だね」
甲
「2項は中間利息控除だね」
乙
「将来の利益や費用を考慮して調整する場合でも、もともとの損害賠償請求権が施行日前に生じたかどうかによるんだね」
甲
「3項は、遅延損害金の法定利率だね」
乙
「419条1項の『遅滞の責任を負った最初の時点』というのは、あくまで施行日後のことなんだね」
甲
「4項は、施行日前に賠償額の予定を合意したら、改正前の規定を適用するという規定だね」
乙
「421条は改正されないけどね」
(履行期と履行遅滞)
第412条 略
2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
(履行不能)
第412条の2 債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。
2 契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第415条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない。
(受領遅滞)
第413条 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。
2 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。
(履行遅滞中又は受領遅滞中の履行不能と帰責事由)
第413条の2 債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。
2 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。
(債務不履行による損害賠償)
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
(損害賠償の範囲)
第416条 略
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
(過失相殺)
第418条 債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。
(代償請求権)
第422条の2 債務者が、その債務の履行が不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である権利又は利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害の額の限度において、債務者に対し、その権利の移転又はその利益の償還を請求することができる。
(中間利息の控除)
第417条の2 将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。
2 将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合において、その費用を負担すべき時までの利息相当額を控除するときも、前項と同様とする。
(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
第722条 第417条及び第417条の2の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 略
(金銭債務の特則)
第419条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2・3 略
(賠償額の予定)改正前
第四百二十条 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
2 略
第421条 前条の規定は、当事者が金銭でないものを損害の賠償に充てるべき旨を予定した場合について準用する。※改正なし
(法務省資料p7)
http://www.moj.go.jp/content/001293856.pdf
(一問一答 民法(債権関係)改正p379-80)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
(実務解説 改正債権法p97-101、102-4、106-10、119-20)
https://www.koubundou.co.jp/book/b307837.html
(ケース別 債権法 新・旧規定適用判断のポイントp39-48)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100092