(自己契約及び双方代理等)
第108条 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
2 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
(e-Gove法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089
(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf
甲
「1項は自己契約と双方代理だね」
乙
「効果について、無権代理として扱う判例法理(判例1)を明確化するんだね」
甲
「2項を加えるんだね」
乙
「利益相反行為だね」
甲
「利益相反の規定は、もともと親権や後見制度にあったね」
乙
「会社法にもあるね」
「今回の債権法改正の影響で文言が変わるね」
甲
「代理権の濫用との違いは?」
乙
「利益相反は外形的・客観的に判断するよ(判例2)」
(代理権の濫用)
第107条 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
(利益相反行為)
第826条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その1人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
(後見監督人の職務)
第851条 後見監督人の職務は、次のとおりとする。
一・三 略
四 後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること。
(保佐人及び臨時保佐人の選任等)
第876条の2 家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する。
2 略
3 保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、保佐監督人がある場合は、この限りでない。
(補助人及び臨時補助人の選任等)
第876条の7 家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、職権で、補助人を選任する。
2 略
3 補助人又はその代表する者と被補助人との利益が相反する行為については、補助人は、臨時補助人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、補助監督人がある場合は、この限りでない。
会社法
(競業及び利益相反取引の制限)【2号→2号又は第3号に改正】
第356条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
2 民法第108条の規定は、前項の承認を受けた同項第2号又は第3号の取引については、適用しない。
(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)
第365条 取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。
2 略
(整備法)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00176.html
(判例1)
最判昭和47年4月4日民集第26巻3号373頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51928
(判例2)
最判昭和42年4月18日民集第21巻3号671頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54994
(一問一答 民法(債権関係)改正p33)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
(我妻・有泉コンメンタール民法p233)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html
※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。