2020年4月25日土曜日

法学14 関数、法改正=f( )の変動


事故調査官のイラスト

「法律を含む法的ルールって、関数のf()だね」

「そうだね」




「ということは、法改正があれば、同じ事実でも結論が変わるんだね」

「厳密には同じ事実というのはないけど、法務省がそういう説明をしているね」



「債権法改正だね」

「法定利率が変わったよ」

「損害賠償で問題になるね」

「結論としては、損害額が変わるね」



「内訳を見ると、まず逸失利益が変わるんだね」

「生活費控除、亡くなれば生活費がかからなくなった、生きていたら収入の半分(本件は0.5)は生活費に使っていた、という想定をするよ」

「逸失利益は、417条の2の中間利息控除に法定利率を使うよ」

「どうやって中間利息を控除するの?」

「ライプニッツ係数をかけるんだよ」


「遅延損害金は減るんだね」

「債権法改正で、法定利率が下がったからだね」
・民法
(法定利率)
第404条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2 法定利率は、年3パーセントとする。
3 略
(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(損害賠償の方法)
第417条 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。
(中間利息の控除)
第417条の2 将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。
2 将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合において、その費用を負担すべき時までの利息相当額を控除するときも、前項と同様とする。
(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
第722条 第417条及び第417条の2の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
・自動車損害賠償保障法
(自動車損害賠償責任)
第3条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

(賃金センサス:賃金構造基本統計調査)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
※H24の基礎収入について、横浜地判平成27年12月22日判例時報2309号90頁

(債権各論207 改正民法722条)
https://bengoshinobenkyou.blogspot.com/2019/10/207-722.html

(法務省、債権法改正の資料・法定利率)
http://www.moj.go.jp/content/001255624.pdf
(要件事実マニュアル2p467,476-8)
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9256
(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準2020年版p159,178,429,432)
https://n-tacc.or.jp/book#st-toc-h-3