弁護士が法改正等を読み、主に対話形式で説明を試みます。 司法試験で行っていた勉強法、いわゆるセルフレクチャー※を文字起こししたイメージです。 ※自分で自分に説明して理解や記憶を目指す、「夢をかなえる勉強法」(伊藤真著)等参照。 ※本文の法令・リンク先の情報は投稿時のものです。
2020年4月18日土曜日
法学9 「法律」の意味
甲
「政令って、法律じゃないよね」
乙
「たしかに、狭い意味での法律ではないね」
甲
「狭い意味の法律って?」
乙
「憲法59条1項だね」
甲
「政令は、広い意味の法律には当たるの?」
乙
「法・法令・法規範にはなるだろうね」
甲
「通達とかは、広い意味でも法律じゃないの?」
乙
「裁判のときには、裁判所を拘束しないね」
甲
「いわゆる通達課税はいいの?」
乙
「通達が根拠じゃなくて、あくまで法律による課税だとした判例があるね」
・憲法
第59条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
第73条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
第84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
・内閣法※政令
第11条 政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。
・内閣府設置法※内閣府令・通達
(内閣総理大臣の権限)
第7条
4 内閣府令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。
6 内閣総理大臣は、内閣府の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。
・国家行政組織法※通達
第14条 各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができる。
2 各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。
(法律用語辞典p674-5・808・1031・1035-6・1052-3・1056)
http://www.yuhikaku.co.jp/dictionary/detail/9784641000285
(「税務判例」を読もう!p46・134)
https://shop.gyosei.jp/products/detail/8588
・大阪高判平成21年4月24日税理53.7.84
「通達等の規定は,課税庁内部では拘束力をもつが,裁判所が拘束されるものではないのであって,その上位規範である所得税法の規定を解釈するに当たり参考となり得えても,その解釈基準の根拠として取り扱うことは,前提において失当」
・最判昭和33年3月28日民集第12巻4号624頁※通達課税
「論旨は、通達課税による憲法違反を云為しているが、本件の課税がたまたま所論通達を機縁として行われたものであつても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、本件課税処分は法の根拠に基く処分と解する」