弁護士が法改正等を読み、主に対話形式で説明を試みます。 司法試験で行っていた勉強法、いわゆるセルフレクチャー※を文字起こししたイメージです。 ※自分で自分に説明して理解や記憶を目指す、「夢をかなえる勉強法」(伊藤真著)等参照。 ※本文の法令・リンク先の情報は投稿時のものです。
2020年4月24日金曜日
法学13 法律と契約、憲法(借りたら返せ続き)
甲
「契約の定義は前回見たね」
乙
「対立する意思表示の合致、申込と承諾だね」
甲
「前回の使用貸借だと、無償で貸す借りるという契約だね」
乙
「申込『貸してくれ』・承諾『貸すよ』と、申込『借りてくれ』承諾『借りるよ』というのが考えられるね」
甲
「要するに、合意があれば契約が成立するんだね」
乙
「諾成契約と呼ぶね」
甲
「改正でそうなったの?」
乙
「改正前は、目的物の引渡しが必要な『要物契約』だったね」
甲
「今も要物契約はあるの?」
乙
「消費貸借だね」
甲
「そもそも、何で法的に返さないといけなくなるの?」
乙
「貸す・借りるには、後で返す・返してもらうという意味を含んでいる」
甲
「合意つまり自分の意思ということ?」
乙
「そうだね」
「法律を守るのと同じ意味で、自分たちで決めたから権利義務が発生する」
甲
「国単位で全国民が結んだ契約が法律、当事者間というか個人単位の法律が契約、ということ?」
乙
「大雑把に考えるとそうだね」
「フランス民法に、合意(契約)が法律に代わるという規定があるよ」
甲
「憲法でも『社会契約』という言葉が出てくるね」
・民法
(使用貸借)
第593条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
(使用貸借)※改正前
第五百九十三条 使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
(期間満了等による使用貸借の終了)
第597条 当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。
2 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
3 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
(借用物の返還の時期)※改正前
第五百九十七条 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。
2 当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。
3 当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。
(消費貸借)
第587条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
・フランス民法1134条1項
適法に形成された合意は、それを行った者に対しては、法律に代わる。
(契約の意義、印紙税法基本通達第4節)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/inshi/inshi01/04.htm
(ビジネスパーソンのための契約の教科書p110)
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166608348
(民法(債権関係)部会資料11-2 民法(債権関係)の改正に関する検討事項(6)詳細版p3)
http://www.moj.go.jp/content/000047330.pdf
(憲法制定権力p6,65)
http://www.utp.or.jp/book/b299928.html