2020年1月8日水曜日

経過措置等33 改正民法附則33条


(定型約款に関する経過措置)
第33条 新法第548条の2から第548条の4までの規定は、施行日前に締結された定型取引(新法第548条の2第1項に規定する定型取引をいう。)に係る契約についても、適用する。ただし、旧法の規定によって生じた効力を妨げない。
2 前項の規定は、同項に規定する契約の当事者の一方(契約又は法律の規定により解除権を現に行使することができる者を除く。)により反対の意思の表示が書面でされた場合(その内容を記録した電磁的記録によってされた場合を含む。)には、適用しない。
3 前項に規定する反対の意思の表示は、施行日前にしなければならない。

(e-Gove法令検索)
 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

「定型約款の規定は、施行日前のものにも適用するんだね」

「例外的な取り扱いだね」

「2項で、反対の意思表示をして適用させないこともできるんだね」

「かっこ書で、解除できる人は反対の意思表示じゃなくて解除すればいいから『除く。』としているね」

「3項で、施行日前に反対の意思表示をする必要があるんだね」

「附則1条2号で、政令で定めた日から反対の意思表示ができるんだね」

「公布が平成29年だから、もう反対の意思表示ができるはずだね」

「平成30年4月1日からできるようになっているね」
(法務省資料p3)
http://www.moj.go.jp/content/001293856.pdf


(法務省、反対の意思表示について)
http://www.moj.go.jp/content/001242840.pdf


(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第37条の規定 公布の日
二 附則第33条第3項の規定 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
三 附則第21条第2項及び第3項の規定 公布の日から起算して2年9月を超えない範囲内において政令で定める日

【第5款 定型約款】
(定型約款の合意)
第548条の2 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画1的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。
2 前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第1条第2項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。
(定型約款の内容の表示)
第548条の3 定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない。
2 定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは、前条の規定は、適用しない。ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
(定型約款の変更)
第548条の4 定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
一 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
二 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
2 定型約款準備者は、前項の規定による定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。
3 第1項第2号の規定による定型約款の変更は、前項の効力発生時期が到来するまでに同項の規定による周知をしなければ、その効力を生じない。
4 第548条の2第2項の規定は、第1項の規定による定型約款の変更については、適用しない。

(一問一答 民法(債権関係)改正p390-2) https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
(我妻・有泉コンメンタール民法p1135)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html
(実務解説 改正債権法p357)

https://www.koubundou.co.jp/book/b307837.html
(ケース別 債権法 新・旧規定適用判断のポイントp190-200)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100092

2020年1月7日火曜日

経過措置等32 改正民法附則32条

(契約の解除に関する経過措置)
第32条 施行日前に契約が締結された場合におけるその契約の解除については、新法第541条から第543条まで、第545条第3項及び第548条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(e-Gove法令検索)
 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089


「解除の経過措置だね」

「解除そのものじゃなくて、解除される契約を施行日前に締結したかどうかだね」

「いわゆる取引基本契約と、個別契約を締結した場合は?」

「当事者の意思解釈によるね」
 (法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

(催告による解除)
第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
(催告によらない解除)
第542条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能である時。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
第543条 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前2条の規定による契約の解除をすることができない。

(解除の効果)
第545条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 略
3 第1項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
4 略
(解除権者の故意による目的物の損傷等による解除権の消滅)
第548条 解除権を有する者が故意若しくは過失によって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することができなくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは、解除権は、消滅する。ただし、解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは、この限りでない。

(我妻・有泉コンメンタール民法p1118)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html

(ケース別 債権法 新・旧規定適用判断のポイントp176-89)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100092

2020年1月6日月曜日

経過措置等31 改正民法附則31条

(契約上の地位の移転に関する経過措置)
第31条 新法第539条の2の規定は、施行日前にされた契約上の地位を譲渡する旨の合意については、適用しない。

(e-Gove法令検索)
 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089


「契約上の地位の移転だね」

「契約上の地位の移転には、
①『譲渡する旨の合意』
②相手方の『承諾』
が必要だね」

「①の合意が施行日前かどうかだね」

「②の承諾が施行日後でも適用しないんだね」

 (法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

【第3款 契約上の地位の移転】
第539条の2 契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。

(我妻・有泉コンメンタール民法p1112)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html

(ケース別 債権法 新・旧規定適用判断のポイントp173-5)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100092

2020年1月5日日曜日

経過措置等30 改正民法附則30条

(契約の効力に関する経過措置)
第30条 施行日前に締結された契約に係る同時履行の抗弁及び危険負担については、なお従前の例による。
2 新法第537条第2項及び第538条第2項の規定は、施行日前に締結された第三者のためにする契約については、適用しない。
(e-Gove法令検索)

 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

「契約締結が基準だね」

「1項は同時履行の抗弁・危険負担で、同時履行は填補賠償・危険負担は債権者主義の規定が適用されるかどうかだね」

「2項は第三者のためにする契約だね」

「537条2項の『第三者』について、538条2項の解除要件だね」
 (法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html


(参考:新旧対照条文 【PDF】法務省※)
http://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf

 ※法務省のページにある「新旧対照条文」について、縦書きを横書きに、漢数字をアラビア数字に(号は除く)、「同上」を「同左」にしています。下線部は、「新旧対照条文」に付されているものです。


(第三者のためにする契約)
第537条 略
2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
3 略
(第三者の権利の確定)
第538条 略
2 前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第1項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。


(我妻・有泉コンメンタール民法p1092-111)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html
(ケース別 債権法 新・旧規定適用判断のポイントp168-72)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100092
 



2020年1月4日土曜日

経過措置等29 改正民法附則29条

(契約の成立に関する経過措置)
第29条 施行日前に契約の申込みがされた場合におけるその申込み及びこれに対する承諾については、なお従前の例による。
2 施行日前に通知が発せられた契約の申込みについては、新法第526条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
3 施行日前にされた懸賞広告については、新法第529条から第530条までの規定にかかわらず、なお従前の例による。


(e-Gove法令検索)

 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

「1項は、申込みが施行日前かどうかだね」

「施行日前の申込みに対する承諾も『なお従前の例による』んだね」

「2項は、申込みの発信が施行日前かどうかだね」

「改正前の97条・525条が適用されるんだね」

「3項は懸賞広告だね」

「広告、つまり不特定多数の人に知られるように表示することだね」
 (法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

(契約の成立と方式)
第522条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 略
(隔地者間の契約の成立時期)改正前
第五百二十六条 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
2 申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。

(申込者の死亡等)
第526条 申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。
(隔地者に対する意思表示)改正前
第九十七条 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
(申込者の死亡又は行為能力の喪失)改正前
第五百二十五条 第九十七条第二項の規定は、申込者が反対の意思を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には、適用しない。

(懸賞広告)
第529条 ある行為をした者に一定の報酬を与える旨を広告した者(以下「懸賞広告者」という。)は、その行為をした者がその広告を知っていたかどうかにかかわらず、その者に対してその報酬を与える義務を負う。
(指定した行為をする期間の定めのある懸賞広告)
第529条の2 懸賞広告者は、その指定した行為をする期間を定めてした広告を撤回することができない。ただし、その広告において撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2 前項の広告は、その期間内に指定した行為を完了する者がないときは、その効力を失う。
(指定した行為をする期間の定めのない懸賞広告)
第529条の3 懸賞広告者は、その指定した行為を完了する者がない間は、その指定した行為をする期間を定めないでした広告を撤回することができる。ただし、その広告中に撤回をしない旨を表示したときは、この限りでない。
(懸賞広告の撤回の方法)
第530条 前の広告と同一の方法による広告の撤回は、これを知らない者に対しても、その効力を有する。
2 広告の撤回は、前の広告と異なる方法によっても、することができる。ただし、その撤回は、これを知った者に対してのみ、その効力を有する。
(我妻・有泉コンメンタール民法p1055-75)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html
(ケース別 債権法 新・旧規定適用判断のポイントp163-7)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100092
 



2020年1月3日金曜日

経過措置等28 改正民法附則28条

(有価証券に関する経過措置)
第28条 新法第520条の2から第520条の20までの規定は、施行日前に発行された証券については、適用しない。
(e-Gove法令検索)

 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

「有価証券の規定で、証券発行が基準だね」

「施行日前に発行すれば、改正法は適用されないんだね」

「改正前の469条とかを適用するんだね」
 (法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html


(我妻・有泉コンメンタール民法p1037)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html
(実務解説 改正債権法p279)

https://www.koubundou.co.jp/book/b307837.html


(指図債権の譲渡の対抗要件)改正前
第四百六十九条 指図債権の譲渡は、その証書に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
【第7節 有価証券】
【第1款 指図証券】
(指図証券の譲渡)
第520条の2 指図証券の譲渡は、その証券に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ、その効力を生じない。
(指図証券の裏書の方式)
第520条の3 指図証券の譲渡については、その指図証券の性質に応じ、手形法(昭和7年法律第20号)中裏書の方式に関する規定を準用する。
(指図証券の所持人の権利の推定)
第520条の4 指図証券の所持人が裏書の連続によりその権利を証明するときは、その所持人は、証券上の権利を適法に有するものと推定する。
(指図証券の善意取得)
第520条の5 何らかの事由により指図証券の占有を失った者がある場合において、その所持人が前条の規定によりその権利を証明するときは、その所持人は、その証券を返還する義務を負わない。ただし、その所持人が悪意又は重大な過失によりその証券を取得したときは、この限りでない。
(指図証券の譲渡における債務者の抗弁の制限)
第520条の6 指図証券の債務者は、その証券に記載した事項及びその証券の性質から当然に生ずる結果を除き、その証券の譲渡前の債権者に対抗することができた事由をもって善意の譲受人に対抗することができない。
(指図証券の質入れ)
第520条の7 第520条の2から前条までの規定は、指図証券を目的とする質権の設定について準用する。
(指図証券の弁済の場所)
第520条の8 指図証券の弁済は、債務者の現在の住所においてしなければならない。
(指図証券の提示と履行遅滞)
第520条の9 指図証券の債務者は、その債務の履行について期限の定めがあるときであっても、その期限が到来した後に所持人がその証券を提示してその履行の請求をした時から遅滞の責任を負う。
(指図証券の債務者の調査の権利等)
第520条の10 指図証券の債務者は、その証券の所持人並びにその署名及び押印の真偽を調査する権利を有するが、その義務を負わない。ただし、債務者に悪意又は重大な過失があるときは、その弁済は、無効とする。
(指図証券の喪失)
第520条の11 指図証券は、非訟事件手続法(平成23年法律第51号)第100条に規定する公示催告手続によって無効とすることができる。
(指図証券喪失の場合の権利行使方法)
第520条の12 金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする指図証券の所持人がその指図証券を喪失した場合において、非訟事件手続法第114条に規定する公示催告の申立てをしたときは、その債務者に、その債務の目的物を供託させ、又は相当の担保を供してその指図証券の趣旨に従い履行をさせることができる。
【第2款 記名式所持人払証券】
(記名式所持人払証券の譲渡)
第520条の13 記名式所持人払証券(債権者を指名する記載がされている証券であって、その所持人に弁済をすべき旨が付記されているものをいう。以下同じ。)の譲渡は、その証券を交付しなければ、その効力を生じない。
(記名式所持人払証券の所持人の権利の推定)
第520条の14 記名式所持人払証券の所持人は、証券上の権利を適法に有するものと推定する。
(記名式所持人払証券の善意取得)
第520条の15 何らかの事由により記名式所持人払証券の占有を失った者がある場合において、その所持人が前条の規定によりその権利を証明するときは、その所持人は、その証券を返還する義務を負わない。ただし、その所持人が悪意又は重大な過失によりその証券を取得したときは、この限りでない。
(記名式所持人払証券の譲渡における債務者の抗弁の制限)
第520条の16 記名式所持人払証券の債務者は、その証券に記載した事項及びその証券の性質から当然に生ずる結果を除き、その証券の譲渡前の債権者に対抗することができた事由をもって善意の譲受人に対抗することができない。
(記名式所持人払証券の質入れ)
第520条の17 第520条の13から前条までの規定は、記名式所持人払証券を目的とする質権の設定について準用する。
(指図証券の規定の準用)
第520条の18 第520条の8から第520条の12までの規定は、記名式所持人払証券について準用する。
【第3款 その他の記名証券】
第520条の19 債権者を指名する記載がされている証券であって指図証券及び記名式所持人払証券以外のものは、債権の譲渡又はこれを目的とする質権の設定に関する方式に従い、かつ、その効力をもってのみ、譲渡し、又は質権の目的とすることができる。
2 第520条の11及び第520条の12の規定は、前項の証券について準用する。
【第4款 無記名証券】
第520条の20 第2款(記名式所持人払証券)の規定は、無記名証券について準用する。

2020年1月2日木曜日

経過措置等27 改正民法附則27条

(更改に関する経過措置)
第27条 施行日前に旧法第513条に規定する更改の契約が締結された更改については、なお従前の例による。


(e-Gove法令検索)
 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

「更改だね」

「契約締結が基準だね」

「更改は債権の消滅原因だけど、契約なんだね」

「契約であること自体は、改正前と変わらないね」
 (法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

【第3款 更改】
(更改)
第513条 当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。
一 従前の給付の内容について重要な変更をするもの
二 従前の債務者が第三者と交替するもの
三 従前の債権者が第三者と交替するもの


(我妻・有泉コンメンタール民法p1026-33)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html
(実務解説 改正債権法p337)

https://www.koubundou.co.jp/book/b307837.html




2020年1月1日水曜日

経過措置等26 改正民法附則26条

(相殺に関する経過措置)
第26条 施行日前にされた旧法第505条第2項に規定する意思表示については、なお従前の例による。
2 施行日前に債権が生じた場合におけるその債権を受働債権とする相殺については、新法第509条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
3 施行日前の原因に基づいて債権が生じた場合におけるその債権を自働債権とする相殺(差押えを受けた債権を受働債権とするものに限る。)については、新法第511条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
4 施行日前に相殺の意思表示がされた場合におけるその相殺の充当については、新法第512条及び第512条の2の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(e-Gove法令検索)

 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/129AC0000000089_20200401_429AC0000000044/0?revIndex=4&lawId=129AC0000000089

「相殺の経過措置で、意思表示や債権発生が施行日前かどうかだね」

「『意思表示』でも、1項は相殺制限(禁止)特約の意思表示、4項は相殺の意思表示だね」

「2項は債権発生だね」

「附則10条1項によると、債権発生自体に加えて、債権発生原因の法律行為も含むんだね」

「3項は『施行日前の原因』だね」

「自働債権の発生原因が施行日前に生じたかどうかだね」

「1項って、債権譲渡の、譲渡制限(禁止)特約の経過措置と違うんだね」

「債権譲渡は、譲渡制限(禁止)特約付の債権譲渡が施行日前かどうかが基準だけど、相殺は制限(禁止)特約をしたのが施行日前かどうかだね」
 (法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

(時効に関する経過措置)
第10条 施行日前に債権が生じた場合(施行日以後に債権が生じた場合であって、その原因である法律行為が施行日前にされたときを含む。以下同じ。)におけるその債権の消滅時効の援用については、新法第145条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(債権の譲渡に関する経過措置)
第22条 施行日前に債権の譲渡の原因である法律行為がされた場合におけるその債権の譲渡については、新法第466条から第469条までの規定にかかわらず、なお従前の例による。

(相殺の要件等)改正前
第五百五条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

(相殺の要件等)
第505条 略
2 前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。
(債権の譲渡性)
第466条 略
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
4 略

(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第509条 次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。
一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)
(差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第511条 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。
2 前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。
(相殺の充当)
第512条 債権者が債務者に対して有する1個又は数個の債権と、債権者が債務者に対して負担する1個又は数個の債務について、債権者が相殺の意思表示をした場合において、当事者が別段の合意をしなかったときは、債権者の有する債権とその負担する債務は、相殺に適するようになった時期の順序に従って、その対当額について相殺によって消滅する。
2 前項の場合において、相殺をする債権者の有する債権がその負担する債務の全部を消滅させるのに足りないときであって、当事者が別段の合意をしなかったときは、次に掲げるところによる。
一 債権者が数個の債務を負担するとき(次号に規定する場合を除く。)は、第488条第4項第2号から第4号までの規定を準用する。
二 債権者が負担する1個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべきときは、第489条の規定を準用する。この場合において、同条第2項中「前条」とあるのは、「前条第4項第2号から第4号まで」と読み替えるものとする。
三 第1項の場合において、相殺をする債権者の負担する債務がその有する債権の全部を消滅させるのに足りないときは、前項の規定を準用する。
第512条の2 債権者が債務者に対して有する債権に、1個の債権の弁済として数個の給付をすべきものがある場合における相殺については、前条の規定を準用する。債権者が債務者に対して負担する債務に、1個の債務の弁済として数個の給付をすべきものがある場合における相殺についても、同様とする。
(一問一答 民法(債権関係)改正p388) 
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=5311332
(我妻・有泉コンメンタール民法p1012)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8092.html
(実務解説 改正債権法p326、331)

https://www.koubundou.co.jp/book/b307837.html
(ケース別 債権法 新・旧規定適用判断のポイントp152-60)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100092