(移転登記等の嘱託の申立てについて提出すべき文書)
第144条 転付命令又は譲渡命令が効力を生じた場合において、法第164条第1項の申立てをするときは、記録上明らかな場合を除き、差し押さえられた債権に関し、これらの命令が第三債務者に送達された時までに他の差押え及び仮差押えの執行がないことを証する文書を提出しなければならない。
(民事執行規則(原文は縦書き))
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2020/3minjisikkoukisoku.pdf
(新旧対照表)
https://www.sn-hoki.co.jp/data/pickup_hourei/onct/MINJISHI-KISOKU20191127-5.html
甲
「転付命令・譲渡命令の場合だね」
乙
「転付命令は民事執行法159条1項160条、譲渡命令は民事執行法161条1項だね」
(転付命令)
第159条 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。
(転付命令の効力)
第160条 転付命令が効力を生じた場合においては、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなす。
(譲渡命令等)
第161条 差し押さえられた債権が、条件付若しくは期限付であるとき、又は反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その債権を執行裁判所が定めた価額で支払に代えて差押債権者に譲渡する命令(以下「譲渡命令」という。)(略)による換価を命ずる命令を発することができる。
甲
「移転登記等の嘱託つまり民事執行法164条1項だね」
乙
「担保されている場合の債権だね」
(移転登記等の嘱託)
第164条 第150条に規定する債権について、転付命令若しくは譲渡命令が効力を生じたとき、又は売却命令による売却が終了したときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権を取得した差押債権者又は買受人のために先取特権、質権又は抵当権の移転の登記等を嘱託し、及び同条の規定による登記等の抹消を嘱託しなければならない。
甲
「民事執行法150条の債権だね」
乙
「登記等のされた担保だね」
(先取特権等によつて担保される債権の差押えの登記等の嘱託)
第150条 登記又は登録(以下「登記等」という。)のされた先取特権、質権又は抵当権によつて担保される債権に対する差押命令が効力を生じたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権について差押えがされた旨の登記等を嘱託しなければならない。
甲
「嘱託の申立てをする場合の要件だね」
乙
「他の差押えや仮差押えがないことを文書で証明するんだね」
甲
「『記録上明らかな場合』は文書を提出しなくていいんだね」
乙
「例えば、民事執行法147条1項・民事執行規則135条1項の陳述催告で、1項4号の『他の債権者の差押え又は仮差押えの執行の有無』で確認できるね」
(第三債務者の陳述の催告)
第147条 差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から2週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。
(第三債務者に対し陳述を催告すべき事項等)
第135条 法第147条第1項の規定により第三債務者に対し陳述を催告すべき事項は、次に掲げる事項とする。
四 当該債権に対する他の債権者の差押え又は仮差押えの執行の有無並びにこれらの執行がされているときは、当該差押命令、差押処分又は仮差押命令の事件の表示、債権者の氏名又は名称及び住所並びに送達の年月日並びにこれらの執行がされた範囲
(条解民事執行規則(第四版)下〔第99条~第193条・附則〕p564-6)
http://www.hosokai.or.jp/item/annai/data/202005.html#01
(Q&A令和元年改正民事執行法制p469)
https://www.kinzai.jp/item/b13540/